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若年性認知症の母を雇い続けてくれた店へ、サッカー選手が感謝の言葉を綴る

若年性認知症の母を雇い続けてくれた店へ、サッカー選手が感謝の言葉を綴る

イギリスのサッカー選手、Doron Salomon氏がスーパーマーケットチェーンのSainsbury’sへ、15にもわたるツイートで感謝を綴った。

 

「普段こういうことはしないのですが…」から始まるツイートに書かれていたのは、若年性アルツハイマー型認知症の母親を、定年まで雇い続けてくれたSainsbury’sへの感謝の言葉だった。

 

症状が出たのは50代前半のころ

 

Salomon氏によると、母親の症状が出始めたのは50代前半のこと。今から10年ほど前だ。しかし、若年性アルツハイマー型認知症だと診断されたのは2013年だったという。

 

認知症というと記憶が失われていく病気だと思われがちだが、実際に起こるのはそれだけではない。

 

アルツハイマー型認知症の場合、「新しい記憶から失われていく」「時間や方向感覚が失われる」「お金の管理ができなくなる」「理解力や判断力が低下する」といった症状が出る。また、人によっては妄想や徘徊を起こしたり、感情が高ぶりやすくなったりすることもある。

 

症状が出始めたころにSalomon氏の母親が働いていたのは、経理部門。数字に強く、几帳面だった母親だが、次第に仕事をこなすのが難しくなったという。

 

母親にできる仕事を見つけてくれた

 

しかしSainsbury’sは母親を見捨てることはなかった。経理の仕事が難しくなった彼女を、ネットから注文された商品をまとめる仕事に異動させたのだという。

 

定年を迎える直前には、通いなれた店舗にいるのにまるで初めて来たかのように混乱するなど、日に日に症状は悪化。しかし、同僚たちはいつも母親のそばについていてくれたそうだ。

 

2013年に若年性アルツハイマー型認知症だと診断されてから、店は母親の診断結果のアップデートを常に気にかけてくれていた。

 

Sainsbury’sがしてくれたこと

 

Salomon氏によると、Sainsbury’sが母親のためにしてくれたことには、こんなことがあったそうだ。

 

・定期的な研修の提供
・勤務時間の変更
・母親だけではなく父親も含めてのミーティング
・同僚たちが母親を助けられるように状況を説明
・母親ができるポジションを新規に作成

 

トートボックスの清掃が母親に任せられた仕事だった。彼女は店にとって大切な仕事だと感じながらプライドを持って、任せられた仕事をまっとうしていたという。

 

父親はミーティングに呼ばれるたびに、「解雇されるのではないか」と最悪の事態を思い浮かべていたそうだ。しかし、実際に話し合われるのは、「できることが減っていく彼女を助けるためになにができるか」だった。

 

定年を迎える日まで寄り添った職場

 

2017年10月には母親の症状はかなり進み、高度アルツハイマー型認知症と診断された。それでもSainsbury’sは母親を見捨てなかった。

 

3月3日に定年を迎えるまでの半年間、店のマネジャーたちは母親に寄り添い続けたのだ。

 

Salomon氏は「家族を代表してSainsbury’sにお礼を伝えたいのです。雇用主としてだけではなく、人としてすばらしい存在でいてくれました。ケントン店で働く人々は、思いやりと優しさを見せてくれました。本当にありがとう」とつづっている。

 

一連のツイートには、合計3万件以上のいいねや、「お母さんの話をシェアしてくれてありがとう」「Sainsbury’sを使っていてよかった」「すべての雇用主がするべきこと」「すばらしい話だ」など、感銘を受けた人々からのリプライが寄せられている。

 

若年性認知症とは

 

65歳未満の人に起こる若年性認知症にはいくつか種類があり、Salomon氏のお母さんと同じアルツハイマー型認知症や、俳優のロビン・ウィリアムズ氏が発症していたレビー小体型認知症などがある。

 

若年性認知症は特定疾患に指定されており、診断されて要支援・要介護の認定が下りれば、65歳未満でも介護保険のサービスを使用できる。また早期から診断を受けて治療を開始すれば、進行を遅らせたり、今後について家族と話し合ったりする時間が取れる。

 

自分や家族の様子が少しでもおかしいなと思ったら、病院で検査を受けるとよいだろう。いきなり病院は不安という人は、若年性認知症コールセンターなどに相談するのがおすすめだ。(了)

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