億万長者が全財産をチャリティーで使う目標を立て、38年で達成
38年前、旅行者向けの免税店(デューティーフリーショップ)経営で財産を築き上げたアメリカの億万長者が、その全てを慈善事業で使い切るという目標を立てた。
そのために設立した財団「The Atlantic Philanthropies」は、今月15日、80億ドル(約8400億円)あった資金がゼロになったことを発表した。
目立つことを嫌った財産家
今年89才のChuck Feeney氏は、ニュージャージー州生まれのアイルランド系アメリカ人。若い頃に立ち上げた免税店をチェーン展開してひと財産を築いた。
金持ちの仲間入りをした後も、彼は目立つことを嫌い、質素な生活を続けていたそうだ。車は持たず、小さな賃貸アパートに住み、飛行機に乗るときはエコノミークラスだったことが知られている。
自分の財産を慈善のために役立てようと、The Atlantic Philanthropies財団を設立したのが1982年のこと。それから15年間、個人名を知られることなく、財団を通して私財をあちこちに寄付していたという。
だが、1977年に、所有していた免税店チェーンの株を大量に売ったことがきっかけで、世間に名を知られるようになった。
The Atlantic Philanthropiesはその後も様々な慈善事業に寄付を続け、今月、めでたく80億ドル(約8400億円)の資金が尽きた。
財団はこれまで教育機関に多く寄付しており、その合計額は37億ドル(約3900億円)。中でも彼自身が通ったコーネル大学には10億ドル(約1050億円)の寄付をしている。また、いくつもの人権保護団体に寄付した額を合計すると8億7000万ドル(約917億円)になるとのこと。
生きているうちに贈る
海外メディアの取材を受けたFeeney氏は、目標達成を「生きているうちに見れてよかった」と言い、寄付の大切さをこう語った。
「富裕であることには責任が伴います。財産の一部を、同じ人間の生活向上のために使うという役割を意識する、あるいはそうする責任があると感じなければいけません。そうでないと、後世に大きな問題を残すことになるでしょう」
彼のモットーは「生きているうちに贈る」(原文:Giving While Living)で、これは財団のスローガンにもなっている。慈善活動家としても知られるビル・ゲイツ(マイクロソフトの創業者)やウォーレン・バフェット(投資家)も、彼からの影響を強く受けていると言われている。(了)
出典元:The Guardian:Billionaire Chuck Feeney achieves goal of giving away his fortune(9/19)
出典元:Good News Network:Billionaire Reaches His Goal Of Giving Away His Entire Fortune After 38 Years Of Secret Donations(9/22)