国際宇宙ステーションで寝かせた宇宙のワインが帰還、色と味に違いが
2019年11月2日、12本のボルドーワイン「シャトー・ペトリュス」が国際宇宙ステーションに運ばれた。それが今年2月に地球へ帰還、無重力の宇宙空間で14ヵ月を過ごした高級ワインの、試飲会が開かれた。
初めて味わう宇宙のワイン
その試飲会は3月1日、フランス・ボルドー大学のワイン科学研究所(「Institut des Sciences de la Vigne et du Vins in Bordeaux」)で開かれた。参加者はプロのワインテイスター5名を含めた計12名。会場には、宇宙には運ばれず地上で14ヵ月を過ごした「シャトー・ペトリュス」も用意され、飲み比べが行われた。
海外メディアによれば、宇宙で寝かされたワインも、地上のワインも、製造年は同じ。また、両者とも瓶ごと同じ保存容器に入れられて、約17.7℃に保たれていたとのこと。
ちなみに「シャトー・ペトリュス」は世界で最も高額なワインとして知られ、750mlボトル1本の平均価格が日本円にして29万円ほどになるそうだ。
「熟成が進んでいる」
さてそのお味だが、ワイン専門家でありワインレビュー誌「The Decanter」のライターでもあるJane Ansonさんは試飲後、メディアにこう話している。
私が感じた大きな違いは、(宇宙のワインは)フローラルなアロマの特徴が強調されているということです。地球で保管されていたワインは、アロマがやや少なく、タンニンの渋みがやや強く、「少しだけ若い」と感じました。宇宙にあったものは渋みが和らげられ、今言ったフローラルなアロマがよりはっきり出ています。
Ansonさんはさらに続けて、宇宙のワインには「トリュフの香りがあり、地球のものより1年〜3年熟成が進んでいるようだ」と言っている。
また、別のテイスター2人は色のことにも触れ、「地上のオリジナルのワインは真紅だが、宇宙のワインは明るい煉瓦色になっている」「(宇宙のワインは)煉瓦を思わせる色だ」という感想を述べた。
宇宙から帰還したワインは、無重力や宇宙空間を飛び交う放射線がどのような影響を及ぼしたかを解明するため、現在科学的な分析が進められている。(了)
出典元:Forbes:How This Bordeaux Wine Tasted After 14 Months In Space(3/28)