スタバ店員の通報で待ち合わせの黒人逮捕、抗議により8000店一時閉鎖へ
アメリカのスターバックスで、黒人男性らが「不法侵入」したとして警察に通報され、逮捕に至るという事件が起こった。
その後男性は釈放され、抗議を受けたスターバックスが謝罪する展開となり、世間の注目を集めている。
退店を拒否した男性たちが逮捕される
報道によると今月12日(木)、米フィラデルフィアのスターバックスで、店内にいた黒人2人の男性のもとに警官が詰めかけ、店から出ていくように要求したという。
これを拒んだ男性たちは警察に逮捕、手錠をはめられ連行されてしまった。
しかしその後男性たちは、罪状無しで翌日に釈放されたそうだ。
警察を問いただす白人男性
このニュースは、当時現場に居合わせた客の撮影動画がネット上で公開されたことにより、瞬く間に世間に知れ渡ることとなった。
逮捕された男性たちは、人と待ち合わせをしていたのだという。
実際に動画を見ると、警察が黒人男性2人に尋問している中、一人の白人男性が現れ、警察に「どうして彼らは退店しないといけないのだ?」と問いかけている様子が分かる。
This is the longer video in case people haven't seen it https://t.co/6bTfGgbpN4#Starbucks #Philadelphia #BoycottStarbucks #Racism
— #SaveTimeless #Hulu #Netflix #Amazon #AppleTV (@thetalentguru) April 14, 2018
警官に話しかけている男性は、Mr. Andrew Yaffeといい、2人の黒人男性は自分を待っていたのだという。
「おかしいと思わないかい?」彼は周りの客に疑問を投げかける。そして、「明らかに差別だ。」と言った。
翌日に釈放された男性たち
男性2人の弁護士であるMs. Lauren Wimmerによると、彼らはYaffe氏を待っていると、店員に話したそうだ。そして、その後すぐに店員の白人女性は警察に通報したのだという。
Yaffe氏は不動産開発会社を経営しており、当日はビジネス投資の機会について話し合うために、彼らと待ち合わせをしていた、と証言している。
男性2人は警察に連行された後、指紋と写真を取られ、「反抗的な侵入罪」に問われるだろうと言われたという。しかし、最終的に罪は追及されないとして、拘束から9時間後に釈放された。
スターバックスと警察の反応
今回の事件についてスターバックスは、ツイッターにて声明を出した。そこでは男性たちに謝罪し、「逮捕に至ったことに落胆している」と述べている。
🤔 RT @Starbucks: We apologize to the two individuals and our customers for what took place at our Philadelphia store on Thursday. pic.twitter.com/AqK0XIOoTk
— Charlamagne Tha God (@cthagod) April 14, 2018
事件に詳しい関係者によると、女性店員は退店を拒んだ男性への対応の助けを求め通報したのだが、逮捕までは想定しておらず、後悔しているそうだ。
店員はあくまで店の規定に従い正しいことをした、とこの関係者は言うが、規定のオプションや決定事項に曖昧な点もあり、社内でガイダンスの見直しをしているという。
また、警察の対応についても世間から非難の声が上がっており、当局はFacebook にて経緯を説明している。
それによると、男性たちはトイレの使用を求めたのだが、何も購入していなかった為、規定に反するとして店員が断り、退店を求めた。しかし男性がそれを拒否したので、店員は通報したのだと。
その後警察が店に到着し、3度にわたり彼らに退店を要求したが、それも拒んだ。そして逮捕に至ったのだという。
事件の背景に人種差別か
弁護士のWimmer氏は、今回の事件を人種差別によるものだと話している。
彼女自身、学生時代に多くの時間をスターバックスで(注文することなく)過ごしたが、問題が起きたことは全く無かったという。彼女は白人女性である。
ネット上でも同様の意見が目立つ。
@Starbucks The police were called because these men hadn’t ordered anything. They were waiting for a friend to show up, who did as they were taken out in handcuffs for doing nothing. All the other white ppl are wondering why it’s never happened to us when we do the same thing. pic.twitter.com/0U4Pzs55Ci
— Melissa DePino (@missydepino) April 12, 2018
「警察は男性らが何も注文していないから、呼ばれた。男性らは友達が現れるのを待っていた。そして友達は、彼らが何もしてないのに手錠を掛けられている時に現れた。他のすべての白人の人々は不思議に思っています、なぜ自分たちが同じようなことをしているのに、この(逮捕されるような)ことが自分たちには起きないのかと」
let me count the times i've sat at a @Starbucks or other #coffeeshop or #restaurant waiting for someone to show up before i ordered…sometimes NEVER ordering at all…oh wait, it doesn't matter cuz i'm WHITE! this is everyday #racism for #POC! so #WRONG #Philadelphia #police! https://t.co/gMYekbu6le
— christina (@LABugLady) April 14, 2018
「スターバックスや他のコーヒーショップやレストランで、注文する前に、また時には全く注文しない時に、誰かを待ちながら席に座っていた回数を、私に数えさせて。ちょっと待って。それは問題じゃないわね。なぜなら私は白人だから。これは毎日起きている人種差別だから」
「無意識の差別」を意識する
店に入り、何も注文することなくそこに居座るというのは、日本国内ではあまり考えられないが、アメリカではそうでもないようだ。
何も注文せずにwifiを利用したり、友人とおしゃべりをしたりと、コミュニティスペースとして店を活用する人もいるのだという。
I can’t count how many times I’ve been in a Starbucks and never denied using the restroom by a Starbucks employee even if not purchasing anything. Let alone arrested for it…looks like the police and Starbucks employees in Philadelphia needs some, umn, training in human decency.
— Bet (@betbri_bet) April 14, 2018
「何度、私がスターバックスに行ったか数えきれないけど、たとえ何も購入しなくても、トイレを利用するのを断られたことは一度もないわ。いうまでもなく逮捕もね。フィラデルフィアのスターバックスの従業員は、人間の寛大さや親切についてトレーニングを受ける必要があるわね」
スターバックスによると、全店舗で統一された客の退店を求める規定は無く、安全管理や顧客サービスマニュアルは、各店舗の店長に一任しているとのこと。
このためスターバックスは日本時間の18日、人種的偏見を持たないようスタッフをトレーニングする目的で、全米にある約8000店舗を一時閉鎖することを発表した。
多種多様な民族が混在し、共存しているアメリカ。しかしそこには、自分自身気付かずに偏見を持ってしまう「無意識の差別」も存在すると言われている。
今回の事件をきっかけに、自身の考えや行動を見直す人が増えれば、逮捕された男性たちも少しは報われるだろうか。(了)
出典:Independent:Starbucks apologises after staff call police to arrest two black men ‘who didn’t order anything’(4/15)
出典:ABC News:Starbucks to close 8,000 stores to give staff ‘racial-bias’ training(4/17)