Switch news

知っておきたい世界のニュース

インドネシアの豪雨災害で、稀少なオランウータンが大量死した可能性

インドネシアの豪雨災害で、稀少なオランウータンが大量死した可能性
X_Reuters

インドネシアのスマトラ島北部で、多くの野生動物が被害を受けたのではないか、と専門家や自然保護活動家たちが懸念を抱いている。

 

タパヌリオランウータンが姿を消す

 

スマトラ島北部では11月25日以来、サイクロンの影響で豪雨が続き、各地で洪水や土砂崩れが発生。12月6日の時点で、900人以上の死亡が確認された。

 

そして北部にあるバタン・トルの山岳地帯の森林では、異常な静けさが続いており、普段そこに生息しているタパヌリオランウータンの姿が消えているという。

 

タパヌリオランウータンは絶滅が危惧されている種で、800頭以下しか残っていない。

 

このため災害により、少しでも数が減少すれば種に深刻な影響を与えると、野生生物の専門家は懸念しているそうだ。

 

オランウータンの死骸も発見

 

災害が起きて以来、この地域でタパヌリオランウータンの姿は目撃されておらず、森林から鳴き声も聞こえていない。

 

一部の人々は、オランウータンがより安全な場所に移動したのではないかと考えている一方で、彼らが洪水や土砂崩れで流されたのではないか、といった憶測も流れているという。

 

先週初め、この地域でオランウータンのものとされる死骸が発見されたことから、自然保護活動家たちは懸念を一層深めている。

 

発見された死骸の1つは、タパヌリオランウータンのもので、他にもボルネオオランウータンとスマトラオランウータンの死骸が見つかったそうだ。

 

土砂崩れが広大な森林を破壊

 

ブルネイの「ボルネオ・フューチャーズ」社のエリック・メイヤード教授は現在、衛星画像を用いて、災害がオランウータンに及ぼした影響を調査している。

 

メイヤード教授によれば、この地域の山の斜面にある4800ヘクタールの森林が土砂崩れで破壊され、さらに予備的な観測では、全体で7200ヘクタールが破壊されたと推定しているという。その上でメイヤード教授は、次のように語っている。

 

「破壊された地域には約35頭のオランウータンが生息していたはずです。破壊の激しさを考えれば、全員が死んでいても驚きません。それはオランウータンの個体群にとって大きな打撃です。(略)当時の森は、地獄のような状況だったに違いありません」(了)

 

出典元:BBC:Fears grow that world’s rarest apes were swept away in Sumatran floods(12/11)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top