ISISに潜入したスパイ、50件の爆弾テロを防いだイラク諜報部員が消息を絶つ
スパイとしてISISに潜入し多くの爆弾テロを防ぎ、人々の命を救ったイラク諜報部員が称えられている。
偽の爆弾事件を作り上げる
米紙New York Postによると、そのスパイとはHarith al-Sudani大尉で、イラクのファルコン諜報機関のメンバーとしてISISに16カ月も潜入していたという。
彼はISISの中でも高いランクに属し、ジハード戦士のふりをしながら、これまでに多くの爆弾テロを防いできたとされている。
実際、al-Sudani大尉はISISのメンバーに爆破装置を提供する代わりに、自分のチームに小型の爆弾を渡し、爆破させた後、犠牲者の役の人間を現場に配置させ事件を偽装してきたそうだ。下の動画でも、爆発後に犠牲者役の人間が現れ、地面に倒れるふりをしている。
また警察もこの偽装に歩調を合わせ、ISISのリーダーが偽の爆弾テロ事件を信じるようにするため、偽りの死亡者数やケガ人の数などを声明で発表してきたという。
そしてal-Sudani大尉はこれまでに約50件の爆弾テロ事件を防ぎ、数百人の命を救ってきたと考えられている。
彼の父親であるAbid氏も、MailOnlineの取材に対し「彼は多くの人の命を救いました。全ての作戦は、罪のない人の血が流れることを食い止めるものでした」と語っている。
ISISによって盗聴器が仕掛けられる
しかし2017年の1月に行われた最後のミッションで、ISIS側はal-Sudani大尉の車に機器を取り付け、会話を盗聴。
その後、彼はバグダッド北部にある農場の家屋に連れて行かれ、そこから戻ることはなかったという。
イラク諜報機関のAbu Ali al-Basri部長は、取材に対し次のように語っている。
「彼に疑いを持った時、ISIS側はal-Sudani大尉にトラック爆弾を提供しました。それはマーケット・エリアで爆発させるつもりだったのです。そしてISISはそのトラックに盗聴器を埋め込み、彼らの会話を聞いていたのです」
その後、救出作戦が行われるも、1人のイラク兵が殺害され、al-Sudani大尉の痕跡も見つかっていない。そのため現在は、ISISによって処刑されたと考えられている。
al-Sudani大尉には妻と3人の子供がいたが、彼女らは夫が死ぬまで、どんな任務についていたのか知らなかったそうだ。
そして父の死を知った今、12歳になる息子のMoamal君は取材に対し「僕たちは父親を誇りに思っています」と語っている。(了)
出典元:NYPost:Spy dies after stopping nearly 50 ISIS terror attacks(8/27)
出典元:MailOnline:Fake bombs and actors playing dead: How Iraqi spy infiltrated ISIS and scuppered their terror attacks in act that saved hundreds of lives… but cost him his own(8/27)