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反政府のサウジ人ジャーナリストが行方不明に。在トルコ領事館内で殺害された可能性も

反政府のサウジ人ジャーナリストが行方不明に。在トルコ領事館内で殺害された可能性も
Mr.Jamal Khashoggi Facebook / Hatice Cengiz

サウジアラビア出身の男性ジャーナリストが、今月初めにトルコのサウジアラビア領事館を訪れた後から行方不明になっている。

 

この男性は反政府の立場をとり、しばしばメディアで政府批判を行っていたため、サウジアラビア当局の関与を疑う声が高まっている。

 

政府批判をしていたジャーナリスト

 

行方不明になっているのはJamal Khashoggi氏(59歳)。今月2日にトルコにあるサウジアラビア領事館を訪れた後から消息が不明となった。

 

Khashoggi氏はサウジアラビア出身のジャーナリスト。同国のサルマン国王やイエメンに対するサウジアラビアの軍事介入を批判しており、当局の治安部隊からの逮捕を恐れ、昨年から国外に居住を移していた中での出来事だった。

 

再婚手続きのために領事館を訪問

 

今回、トルコ人女性との再婚手続きのために、必要な書類を受け取りに領事館を訪れたKhashoggi氏。婚約者のHatice Cengizさんによると、2日の午後1時頃、Khashoggi氏は彼女に携帯電話を手渡し、領事館の建物に入ったという。

 

しかし、閉館時間を過ぎてもKhashoggi氏は建物から姿を現さなかった。心配になったCengizさんはトルコ政府に通報、そして事態が明るみに出た。

 

トルコの大統領も声明を発表

 

トルコのエルドアン大統領は7日、声明を発表。「現在、検察の調査中であり、結果を待っている。どのような調査結果であろうと、我々は世界に共有する。」

 

エルドアン大統領の側近であるYasin Aktay氏は、「Khashoggi氏が領事館から『通常の方法で』退出していないのは明らかである。」と、テレビで語った。

 

▼エルドアン大統領と写るKhashoggi氏

Khashoggi氏は殺害されたとするトルコ警察

 

捜査の結果、トルコ警察はKhashoggi氏は領事館内で殺害されたと断定。身体は切断され、館外へ持ち出された、と結論づけた。

 

そしてトルコ政府関係者は、殺害に関する証拠を警察が公開するだろうと述べた。「それがどうやってなのかは謎だが、Khashoggi氏の遺体は領事館内には残されていなかったと確信している。」

 

実はこの前週にもKhashoggi氏は領事館を訪れていたのだという。しかし、その日には書類を受け取れず、再度2日に来館するよう言われたそうだ。

 

書類というのは本人の婚姻状態を証明するもので、コンピューターでデータ管理されており、数十分もあれば発行可能なものだ、と専門家は語っている。

 

サウジアラビアは殺害説を否定し報道を非難

 

一方、サウジアラビア領事館はトルコ政府の見解を真っ向から否定。報道を「根拠のない主張」だとして非難した。

 

6日にはサウジアラビアから治安当局者がトルコの首都イスタンブールに到着し、調査に参加したという。情報源によると、現在も調査は続いているとのこと。

 

サウジアラビア側は、「Khashoggi氏は領事館を出た」と主張しているが、これに対してエルドアン大統領は8日、「『Khashoggi氏が領事館を出た』、というのであれば具体的な証拠を示すべきだ。」と述べた。

 

米国でも話題に、「ワシントン・ポスト」は空白記事を掲載

 

Khashoggi氏が昨年から居住していた米国でも、彼が行方不明になったことについて関心が寄せられている。

 

定期的にKhashoggi氏のコラムを掲載していた「ワシントン・ポスト」では、5日に「失われた声」として、Khashoggi氏の写真とともに空白のスペースを掲載した。

 

 

トルコ国内といえども、領事館内は治外法権となるため、捜査が行いづらい今回の事件。
2国間での不信感が高まると、外交問題にまで発展する懸念が生じている。果たして真相が解明されるのか。今後の捜査の行方が注視されている。(了)

 

 

出典元:The Wall Street Journal:Missing Saudi Journalist Was Killed in Consulate, Turkish Police Say (10/8)

出典元:Arab News:Saudi official dismisses Turkish claims Jamal Khashoggi was killed in Istanbul consulate (10/8)

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