米動物園で、妊娠したゴリラが病気となり、帝王切開で出産
アメリカの動物園で、妊娠したゴリラに帝王切開が行われ、未熟児の子供が無事誕生した。
動物園の115年の歴史の中で初めて
その動物園とは、テキサス州にある「フォートワース動物園」だ。
ここでは「セカニ」と呼ばれる、33歳のニシローランドゴリラのメスが妊娠していたのだが、子癇前症(しかんぜんしょう)にかかってしまったという。
この病気は、妊娠20週以降に発症し、高血圧の悪化で、過剰な尿タンパク質を伴うとされている。
またこれにより胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出生直後の新生児に問題が生じるリスクが高まるという。
このため動物園では、115年の歴史の中で初めて、ゴリラに帝王切開を実施。子供は4~6週間早く誕生し、「ジャミーラ(スワヒリ語で「美しい」という意味)」と名付けられた。
A little peek into Jameela’s first few days.
She was born weighing 3 pounds, 1 ounce and consumed about 2.5 ounces of milk in her first bottle … today, she weighs more than 5 pounds and is drinking a bottle three times as full as her first. pic.twitter.com/BZzvnuVYkz
— Fort Worth Zoo (@FortWorthZoo) February 16, 2024
母親も回復、子供も成長
動物園側が「セカニ」を診断した後、獣医師らは地元の産科医と相談し、母子を救うには帝王切開が必要と判断したという。
産科医のジェイミー・アーウィン氏は「セカニの解剖学的構造が、人間の患者の解剖学的構造と一致していることに驚きました」と述べている。
動物園によると、母親の「セカニ」はその後完全に回復したが、まだ生まれたばかりの赤ちゃんに慣れておらず、赤ちゃんの世話にほとんど興味を示さないという。
その理由を正確に知ることはできないが、動物の専門家は、「セカニ」が自然な満期出産に伴う、ホルモンの合図を経験していないためではないか、と推測している。
国際自然保護連合によると、「セカニ」のようなニシローランドゴリラは中央アフリカ原産とされ、狩猟や病気が原因で、絶滅危惧種に指定されているという。
その数は過去20~25年で60%以上減少しており、ゴリラの出生率も低いため、頭数の減少から回復することが困難となっている。(了)
出典元:BBC:Texas zoo delivers baby gorilla via caesarean section(2/17)