イスラエル政府、ヨルダン川西岸の5つの入植地を合法化へ
イスラエル政府が、ヨルダン川西岸地区にある違法な入植地を合法化することを承認した。
極右の財務大臣が提案
イスラエル政府は6月28日、ヨルダン川西岸地区にある5つの入植地(アウトポスト)を、合法的に認めることを承認したという。
5つの入植地とは、ヨルダン川西岸北部にある「Evyatar」地区、中央部にある「Sde Efraim」と「Givat Asaf」地区、南部の「Heletz」「Adorayim」地区とされている。
これらの入植地は、政府の公式許可なく、イスラエルの入植者が勝手にパレスチナ人の土地を奪い、違法に建設したものだ。
この合法化案は、イスラエルの極右政治家、ベザレル・スモトリッチ財務大臣により提案されたものとみられ、同大臣は声明で、この案は5つのヨーロッパの国々(アイルランド、スペイン、ノルウェー、スロベニアなど)が、パレスチナを国家として承認したことを受けて提出されたと明らかにした。
またスモトリッチ財務大臣は、パレスチナを国家承認する国が増えれば、その分違法入植地を合法化するとも述べたという。
スモトリッチ財務大臣は先日、「我々はヨルダン川西岸で、支配権を確立するだろう」と述べ、パレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸地区の併合を目指す考えを示していた。
その際、スモトリッチ氏は「私の使命は、パレスチナ国家の樹立を阻止することだ」とも主張していたという。
入植活動は国際法違反
そもそも国際法では、ヨルダン川西岸地区はイスラエルの占領地と受け止められ、全ての入植活動やアウトポスト建設は違法となっている。
またアメリカ政府も従来から、入植活動を「国際法違反」とみなしていたが、2019年のトランプ政権時に入植地を「合法」と変更。しかし今年の2月、バイデン政権は再び、入植活動が国際法に違反するとの見解を示した。
今回の「合法化」に対して、ドイツ外務省も非難。報道官は「イスラエルのパレスチナ占領地域における入植地建設政策は、国際法の重大な違反であり、二国家解決に向けた取り組みを損なうものだ」と批判した。
その上で「この決定が、極右のベザレル・スモトリッチ財務大臣によって、複数の国によるパレスチナ国家承認への対応として導入されたことは、特に憂慮すべきで、皮肉なことだとみている」と述べたという。
この合法化については、イスラエルの政治家からも非難の声が上がっており、野党・労働党党首のヤイル・ゴラン氏は、「入植地の合法化は、事実上の併合だ」と発言。
SNSの「X」においても「イスラエル政府は、数百万人のパレスチナの人々に対して、事実上の併合を推し進めてきた。この併合は、わが国民の安全と子供たちの未来を損ない、シオニストの夢の終焉をもたらすだろう」と投稿した。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel war on Gaza live: Israeli troops reportedly killed in fierce battles(6/28)