トランプ氏、ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼ぶ、西側各国が非難
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アメリカのトランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領への批判を強め、ついに「独裁者」と呼び、物議を醸している。
トランプ氏の嘘にまみれた主張
トランプ大統領は2月18日、ゼレンスキー大統領に対し批判を行い、「ウクライナが戦争を始めた」や「支持率が低い」「大統領選挙を行うべき」だと主張した。
しかしこの発言は嘘にまみれており、実際はロシアがウクライナに侵攻して戦争が始まり、ウクライナ国内でのゼレンスキー氏の支持率は52%(昨年12月時点)あり、戒厳令下で大統領選挙ができない状況にある。
このためゼレンスキー大統領はキーウでの記者会見で、「アメリカの大統領は、ロシアからの偽情報を積極的に流している」「偽情報のバブル(泡)に閉じ込められている」と批判した。
これを受けて、トランプ氏はSNSで、ゼレンスキー大統領を「選挙をしない独裁者」と非難し、次のように述べたという。
「ゼレンスキー氏は、我々が送った資金の半分が、行方不明であることを認めている。彼は選挙を拒否し、ウクライナの世論調査では非常に低い支持率で、彼が得意としていたのはバイデン氏を操り人形のように扱うことだけだった。選挙をしない独裁者であるゼレンスキー氏は、早く行動しなければ国を失ってしまうだろう」
またトランプ氏は、ゼレンスキー大統領を「そこそこ成功したコメディアン」と切り捨て、「アメリカに3500億ドルを費やさせ、勝てない、決して始める必要のない戦争に参加させた」とも非難。
さらにトランプ氏は証拠も示さず、「ウクライナの大統領は、アメリカの継続的な財政支援と軍事支援から利益を得ている」と批判し、「戦争の終結を求めるのではなく、戦争を長引かせることに関心がある」などと根拠もなく述べたという。
英独首相が批判、米元副大統領も非難
この発言に対抗するかのように、イギリスのスターマー首相は19日、ゼレンスキー氏と電話で会談し、彼が民主的に選出された大統領であると、支持を表明した。
またスターマー首相は、「第二次世界大戦中にイギリスが行ったように、戦時中に選挙を一時停止することは完全に合理的である」とも述べたという。
ドイツのショルツ首相も、トランプ氏の発言を批判し、「ゼレンスキー大統領の民主的正当性を否定するのは、単純に間違っており危険だ」と語ったそうだ。
さらにドイツのアンナレーナ・ベアボック外相も、ゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼ぶトランプ氏の発言に反論し、「馬鹿げている」と切り捨てた。
トランプ氏の発言については、アメリカ国内からも批判が出ており、マイク・ペンス元副大統領も19日、SNSにおいて次のように投稿した。
「大統領、ウクライナがこの戦争を『始めた』のではない。ロシアは挑発もされず残忍な侵攻を開始し、数十万人の命を奪った。平和への道は真実の上に築かれなければならない」(了)
出典元:The Guardian:Zelenskyy to meet US envoy after fallout with Trump as European leaders rush to contain crisis – live(2/19)