仏極右指導者のルペン氏が横領で有罪、次期大統領選への出馬禁止

フランスの極右政党「国民連合」の指導者、マリーヌ・ルペン氏が3月31日、裁判で有罪判決を受け、これにより2027年に行われる大統領選挙に出馬できなくなった。
欧州議会の資金を長年、横領
パリの裁判所は31日、ルペン氏と24名の党員が、欧州議会補佐官用に割り当てられた資金をフランスの党員への支払いに充て、長年、横領してきたとして有罪判決を下した。
ルペン氏には、懲役4年の判決も言い渡され、2年は執行猶予、2年は電子ブレスレットを付けて刑務所外で服役することになる。
また彼女には、10万ユーロ(約1600万円)の罰金の支払いも命じられ、5年間の公職への立候補禁止が言い渡された。これにより、2027年の大統領選挙に出馬できなくなったそうだ。
無罪を主張し、控訴すると発言
この裁判は9週間にも及び、最終的に150ページに及ぶ法的根拠が提示され、裁判長は「法の支配に違反した場合、免責が与えられる権利は、誰にもない」と判決で述べたという。
ルペン氏は31日の夜、「TF1テレビ」に対し、「横領から個人的に利益を得ていない。何も悪いことはしていない」と主張。
その上で、5年間の公職への立候補禁止は「民主主義の否定」だとし、「私はこのように排除されるつもりはありません。できる限りの法的手段を講じます。私は無実なので控訴するつもりです」と語った。
「国民連合」のジョーダン・バルデラ党首(29歳)は、判決を受け、「今日、不当に非難されたのはマリーヌ・ルペンだけではありません。フランスの民主主義が殺されました」と述べたという。
また各国の極右政党を支持してきたイーロン・マスク氏も、ルペン氏に対する判決は「トランプ大統領に対する法的攻撃のように裏目に出る」と述べたそうだ。
控訴しても、立候補はできず
ルペン氏は「控訴をする」と主張しているが、5年間続く公職への立候補禁止は即時発効するよう命じられたという。
つまり、56歳のルペン氏が判決に対して控訴したとしても、この立候補禁止は適用されるそうだ。
また懲役刑も罰金も、控訴が終わるまで適用されないが、控訴には何年もかかる可能性があると言われている。
「国民連合」は反移民政策を訴え、掲げる政策は人種差別的、外国人排斥的、反イスラム的と評価されてきた。
フランスの「社会党(中道左派)」は、今回の判決について声明を発表。「司法制度の独立と法の支配は、すべての人に尊重されなければならない」と述べ、元党首も「判事の判決は重大な容疑に対する、法に基づくものだ」と述べたという。
一方、「共和党(右派)」のローラン・ワキエ氏は、これは「非常に重く、例外的な判決」であり、「民主主義にとってあまり健全ではない」と述べたそうだ。(了)
出典元:The Guardian:Marine Le Pen attacks ban on French presidency run as a ‘political decision’(3/31)