トランプ関税により世界市場で株価が大暴落、360兆円が消える

アメリカのトランプ大統領は4月2日、各国に相互関税を課すと発表したが、その後世界の株式市場で株価が大幅に下落した。
新型コロナ以来の下落幅
各国へ約10~50%を課す相互関税の発表により、アメリカでの景気後退懸念が高まったため、ニューヨークのウォール街や世界中の金融センターでの株価が約2.5兆ドル(約360兆円)も下落したという。
この株価の下落幅は、新型コロナのパンデミックが起きた2020年6月以来とされ、アメリカの3つの主要株式市場はすべて、取引終了時に暴落したそうだ。
ハイテク株中心の「ナスダック」は5.97%下落し、「S&P500」と「ダウ平均」も、それぞれ4.8%と3.9%下落したという。
時価総額でアメリカ最大の2社「アップル」と「エヌビディア」は、3日の正午までに合計4700億ドルの価値を失い、特にアメリカ市場向けに中国でiPhoneやタブレットなどを製造している「アップル」は、取引終了時点で9.5%も株価が急落したそうだ。
他にも「マイクロソフト」や「デル」、「HP(ヒューレット・パッカード)」など他の大手多国籍企業の株価も大幅に下落した。
日本の日経平均株価も影響を受け、3日は取引開始から一時は1600円以上下落。しかし最終的には、前日比989円安(3%)で取引を終え、約8カ月ぶりに平均株価が3万5000円を下回ったという。
「非常に順調に進んでいると思う」
米ドルも3日の朝に2.2%下落し、6カ月ぶりの安値を付け、逆に日本国内では円高が進行。一時146円まで進んだが、最終的には147円に落ち着いた。原油価格も7%急落している。
トランプ氏は3日、記者団に対し、「非常に順調に進んでいると思う。患者が手術を受けるのと同じような大手術だ。私は、まさにこうなるだろうと言った。このようなことは見たことがない。市場は活況を呈するだろう。株価は活況を呈するだろう。国は活況を呈するだろう」と述べたという。
ただトランプ氏はこの関税政策をめぐって、アメリカ議会の議員や世界の指導者からの広範な反発に直面しており、共和党のミッチ・マコーネル上院議員は「悪い政策」と呼び、カナダ政府は関税を「不当」かつ「望ましくない」と非難した。
関税は、高い税率をかけることで国内の産業を保護することを目的としている。トランプ大統領も国内産業、特に製造業を活性化させることを目的として、相互関税をかけたのだが、相手国と交渉する姿勢も示している。(政権内で意見が割れているとも報じられている)
世界最大級の債券ファンド運用会社「ピムコ」のリビー・キャントリル氏も、最終的にはアメリカが貿易相手国との合意に達するとの期待は残っていると述べた。
その一方、トランプ氏は相互関税による「自国の痛み」にはかなりの耐性があるとみられることから、キャントリル氏は「関税は、しばらく続くと想定すべきだ」との見方を示した。(了)
出典元:The Guardian:Global markets in turmoil as Trump tariffs wipe $2.5tn off Wall Street(4/3)
