米最高裁、出生地主義廃止に関してトランプ政権の主張を認める

アメリカの連邦最高裁は6月27日、出生地主義制度を修正するトランプ大統領の大統領令について、差し止めを求めていた地裁の判断を却下した。
地裁による政策への介入を制限
そもそもアメリカの憲法修正第14条では、「アメリカに出生または帰化し、その管轄権の対象となるすべての者は、アメリカ、および、居住する州の市民である」と定められている。
つまり、たとえ両親が移民であっても、アメリカで生まれた子供には市民権が与えられてきた。
しかしトランプ氏は、この出生地主義が不法移民を呼び寄せていると主張。出生地主義を事実上廃止する大統領令に署名した。
これに対し、ワシントンやマサチューセッツ、メリーランドなど22州の連邦地裁の判事は、この大統領令が憲法修正第14条に反すると主張。大統領令の執行を差し止める仮処分命令を出した。
しかし今回、連邦最高裁判所は、判事9人のうち6対3で、地裁が命じた執行の差し止め命令に制限をかける判決を下し、下級裁判所に差し止め命令の範囲を改めて審理するよう命じたという。ただし、最高裁はこの大統領令が違憲かどうか、判断を下していない。
最高裁のエイミー・バレット判事は「各地の連邦裁判所には、行政機関を広範に監督する権限は有していない」と指摘。トランプ氏は「画期的な勝利だ」と述べた。
民主党議員が反対の声を上げる
この最高裁の判断について、複数の民主党議員はすぐに反対の声を上げたという。
ニューヨーク州選出の民主党上院少数党院内総務、チャック・シューマー氏は、この判決を「トランプ大統領が、アメリカ民主主義の根幹を解体するための、青信号」だと非難。次のように述べた。
「裁判所が長年保持してきた、違法な行政措置を阻止する権限を制限する最高裁の決定は、権威主義への前例のない恐ろしい一歩であり、我々の民主主義にとって重大な危険であり、この過激なMAGA裁判所の予想通りの動きだ。大統領をチェックする地方裁判所の権限を弱めることで、最高裁は憲法を守っているのではなく、むしろ汚しているのだ。出生地主義を廃止するという彼の計画は明らかに違憲だが、それを阻止するどころか、最高裁は問題を回避し、制御不能な行政府に屈した」
カリフォルニア州選出の民主党上院議員アダム・シフ氏も、6月27日を「我々の民主主義にとって暗黒の日」と呼んだという。(了)
出典元:ABC News:Trump celebrates Supreme Court decision limiting nationwide injunctions on birthright citizenship order(6/28)