Switch news

知っておきたい世界のニュース

緊迫するウクライナ情勢、NATO各国も東欧に部隊や兵器を派遣へ

緊迫するウクライナ情勢、NATO各国も東欧に部隊や兵器を派遣へ
flickr_Airwolfhound

現在、ロシア軍の侵攻に備え緊迫しているウクライナを巡る問題では、どのような状況になっているのか?アメリカのメディア、ABC Newsなどが詳しく伝えている。

 

NATO各国が東欧に配備

 

ABC Newsによれば、アメリカ政府は先日、ウクライナにある大使館から、外交官の家族と一部の職員に国外へ退去するよう命じたという。

 

またロシアがウクライナ国境近くに約10万人の部隊を集結させている中、北大西洋条約機構(NATO)は東欧での「抑止力」の存在を強化するため、少数の艦船と戦闘機を東欧に派遣すると発表したそうだ。

 

デンマークはバルト海にフリゲート艦1隻を、リトアニアにF16戦闘機4機を派遣している。

 

同時にフランスは、NATOの指揮下において、部隊をルーマニアに派遣する準備をしているという。

 

スペインはブルガリアに戦闘機を配備することを検討。オランダもF-35戦闘機2機をブルガリアに派遣することに同意し、NATOの対応部隊として艦船と陸上部隊を待機させているそうだ。

 

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は声明で、次のように述べている。

 

「NATOは同盟国東部の強化を含め、すべての同盟国を守り抜くために必要なあらゆる手段を取り続ける」

 

アメリカの部隊派遣は?

 

アメリカ国防省は1月24日、戦闘準備が完了している8500人規模の部隊をいつでも派遣できる態勢を整えていると明らかにした。

 

ただ国防総省のジョン・カービー報道官は24日、米軍の派兵についてはまだ決定していないと説明。NATOが緊急対応部隊を始動させた場合か、ロシア軍の増強をめぐって「他の状況が発展した場合」のみ、派兵するとし、ウクライナ国内そのものに派兵する計画はないと述べたという。

 

しかしバイデン政権は以前「ロシアがウクライナを攻撃した場合、東ヨーロッパにさらに米軍を派遣することが検討されている」と述べている。

 

NATOも1月24日、「アメリカは、ウクライナ東部での軍事的プレゼンスを高めることを検討していることを明らかにした」と述べている。

 

大使館員の避難が早まった理由とは?

 

アメリカ国務省は1月23日、ウクライナの首都キエフにある大使館の外交官の家族に対し、治安上の懸念から国外退去を命じたと発表した。

 

イギリスもこれに続き1月24日には、外務省が一部の大使館員とその扶養家族を 「ロシアの脅威の高まりに対応して」撤退させると発表している。

 

一方、ウクライナ政府は、ロシアが侵攻してくることに懐疑的で、アメリカなどの大使館員の退避についても、「時期尚早」「過剰な警戒心」と批判している。

 

これに対しアメリカ政府は、大使館員らが民間の航空便で移動するとし、「緊急避難」ではないと主張している。

 

ただアメリカの退避措置は、以前アフガニスタンで突然タリバンに占拠され、何千人ものアメリカ人が残された経験を踏まえたことだと考えられている。

 

つまりアメリカの国務省は、アフガニスタンと同様の事態にならないよう懸念していた、との見方があるようだ。

 

ロシアは国境付近で軍備を増強

 

一方、ロシアは、ウクライナを攻撃する意図はないと繰り返し主張してきたという。

 

しかし、同時にロシアはウクライナ東部の国境付近で軍備増強を続けており、現在はベラルーシで合同演習のためにロシア軍の戦車と大砲が運ばれているそうだ。

 

ウクライナ東部を支配する分離主義勢力の最高司令官も24日、ウクライナ軍が分離主義地区に対する攻撃を準備していると非難した。

 

アメリカとウクライナは、「ウクライナによる分離主義者への攻撃」という誤った主張が、ロシアの侵攻の口実として利用されることを懸念しているという。

 

分離主義者が自ら付けた国名「ドネツク人民共和国」(DNR)の民兵組織のトップ、エドゥアルド・バズリン氏は地元メディアの取材において「敵に犯罪目的を諦めるよう強く勧告する」と警告。

 

同時にウクライナ軍に対し、もし攻撃をしてくれば「(ウクライナ軍は)取り返しのつかない損害を被り、その後は回復できなくなる」と述べたそうだ。

 

一方、ウクライナ政府も分離主義者への攻撃をしかけないと述べており、ウクライナが攻撃を準備している証拠もないと主張している。

 

ただウクライナでは何カ月も前から、志願者による国防部隊が準備され、首都防衛のために訓練をしていると言われている。(了)

 

出典元:ABC News:NATO to put more forces on standby amid fears of Russian attack on Ukraine(1/24)

出典元:BBC:米軍部隊8500人が派遣待機、ウクライナ情勢の緊迫で(1/25)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top