ロシアとの首脳会談後、トランプ氏がウクライナに東部地域の放棄を要求

8月15日、アメリカのアラスカ州で、トランプ大統領とロシアのプーチン大統領が会談を行ったが、その交渉内容が少しずつ、明らかにされた。
東部ドンバス地方を放棄すれば和平は可能
トランプ大統領は15日にプーチン大統領と会談後、ヨーロッパ各国の首脳と電話会談を行ったという。
その電話会談の内容が漏洩し、ニューヨークタイムズ紙は欧州の高官の話として、「ウクライナのゼレンスキー大統領がドンバス地方の放棄に同意すれば、和平交渉は可能だ」とトランプ大統領が語ったと報じた。
またアラスカでの会談において、プーチン大統領はトランプ大統領に対し、ロシア軍がウクライナ東部のドネツク州とルハンスク州を占領する代わりに、南部のヘルソン州とザポリージャ州における軍の更なる進撃を停止し、前線を凍結すると述べたという。
そしてトランプ大統領も、ドンバス地方のロシアへの割譲を支持しているそうだ。
領土はウクライナ自身が決定すべき
しかしウクライナや欧州各国は、そのような割譲には反対の姿勢を示しており、また暫定的な停戦を経ずに、和平合意に至ろうとする姿勢にも、警戒を示している。
8月16日、米露首脳会談を受け、欧州の首脳らは共同声明を発表し、次のように述べた。
「欧州の支援を得て、アメリカのトランプ大統領およびウクライナのゼレンスキー大統領と共に、三国(米露ウ)首脳会談に向けて協力する用意がある。ウクライナの領土に関する決定はウクライナ自身に委ねられる。国際的な国境は武力によって変更されてはならない」
この共同声明には、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長やフランスのマクロン大統領、イタリアのメローニ首相、ドイツのメルツ首相、イギリスのスターマー首相、フィンランドのストゥブ大統領、ポーランドのトゥスク首相、そして欧州理事会のアントニオ・コスタ議長が署名した。
ただトランプ大統領はゼレンスキー大統領に圧力をかけ始めており、8月17日には同大統領が望めば「ほぼ即座に」戦争を終結させることができるとSNSに投稿した。
8月18日には、イギリスのスターマー首相、フランスのマクロン大統領、ドイツのメルツ首相、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪れ、トランプ氏と大統領執務室で会談する予定となっている。
今回のアラスカでの米露首脳会談だが、一部のメディアはトランプ氏が成果を得られなかったと指摘し、「プーチン大統領の勝利、そしてアメリカの大統領にとっては屈辱」と報じているという。(了)
出典元:The Guardian:Trump to back ceding of Ukrainian territory to Russia as part of peace deal(8/16)
出典元:The Guardian:Trump rules out Ukraine reclaiming Crimea or joining Nato as European leaders gather in Washington(8/18)