日本が合同軍事演習で「タイフォン」を配備、ロシアと中国が警告

日本で行われるアメリカ軍との共同軍事演習で、中距離ミサイル発射装置の配備が決まったことを受け、中国とロシアが警戒感を示した。
中距離ミサイル発射装置「タイフォン」
日本の陸上自衛隊とアメリカの海兵隊が9月に行う大規模実動訓練「レゾリュート・ドラゴン」で、アメリカ軍の中距離ミサイル発射装置「タイフォン」の展開訓練を、山口県の米軍岩国基地で実施することが決まった。
「タイフォン」には迎撃ミサイル「SM6」や巡航ミサイル「トマホーク」が搭載可能で、これを日本で展開するのは初めてとされている。
これを受け、ロシアや中国が8月29日、日本に対し警告を発した。
「軍事技術的措置を講じざるを得ない」
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は29日、「これは、アメリカ政府が地上配備型の短距離・中距離ミサイルの能力強化に向けた方針の一環である、新たな不安定化策だと考えている」と述べた。
またザハロワ報道官は、ロシア国営タス通信が報じたコメントの中で、「タイフォン」ミサイルを「ロシア周辺地域に配備することは、ロシアにとって直接的な戦略的脅威となる」と述べたという。
その上で報道官は、「日本がタイフォン配備の決定を再考しなければ、ロシアは適切な軍事技術的措置を講じざるを得なくなる。この地域の状況のさらなる悪化の責任は、すべて日本側にあると認識している」と非難したそうだ。
中国外務省も批判
中国外務省の郭嘉昆報道官も8月29日、「中国は、アメリカがアジア諸国に中距離ミサイルシステム『タイフォン』を配備することに常に反対している」と発言。
また日本に対し、「侵略の歴史を真摯に見つめ直し、平和的発展の道を歩み、軍事・安全保障分野において慎重に行動し、アジア近隣諸国と国際社会の信頼をこれ以上失うことのないよう強く求める」と述べたという。
郭報道官はまた、アメリカに対し、「歴史から教訓を引き出し、正しいことを行うためにより多くの努力と資源を投入すべきであり、その逆ではない」と呼びかけた。
過去にフィリピンでも配備される
2024年、フィリピンでも合同演習中に「タイフォン」が配備され、演習後もそのまま国内にとどめられたため、中国政府が非難していた。
フィリピン政府はその後、射程距離約480kmのアメリカ製陸上配備型ミサイルシステムを購入する計画を発表。しかし現在は、より長距離版の開発が進められているそうだ。
アメリカとロシア間では射程500~5500kmの地上発射型ミサイル全廃を定めた「中距離核戦力(INF)廃棄条約」が2019年に失効している。
ただ日本側は、今回の訓練で「タイフォン」の実弾射撃は行わず、今回の展開は恒常的な配備を念頭においておらず、アメリカ軍側も訓練終了後に、日本から「タイフォン」を撤収する予定だという。(了)
出典元:Aljazeera:Russia, China blast deployment of US ‘Typhon’ missiles to Japan(8/30)