ガザ地区での和平案、「ハマス」とイスラエルが第一段階に合意、トランプ大統領が発表

アメリカのトランプ大統領は10月8日、「ハマス」とイスラエルとの停戦交渉で、第一段階に合意したと明らかにした。
紛争の終結、人質の解放、支援の流入
トランプ大統領は8日、自身のSNS「Truth Social」において、次のように投稿した。
「イスラエルとハマスが双方とも、和平計画の第一段階に署名したことを大変誇りに思う。人質は全員まもなく解放され、イスラエルは合意された境界線まで軍を撤退させる」
交渉の仲介を行ったカタール外務省のMajed al-Ansari報道官も、「X」において、次のように投稿した。
「調停官らは今夜、ガザ停戦合意の第一段階の全条項と実施メカニズムについて、合意に達したと発表した。この合意は、紛争の終結、イスラエル人の人質とパレスチナ人の解放、そして支援の流入につながる。詳細は後日発表される」
この発表の前、トランプ大統領は、交渉が「非常に順調に進んでいる」と述べ、週末(もしくは12日)に中東を訪問する可能性があると発言していた。
Emotional scenes unfolded as Palestinians in Gaza celebrated the announcement by US President Donald Trump that Israel and Hamas have reached an agreement on phase one of a Gaza ceasefire deal. pic.twitter.com/W3sBMOqRKY
— Al Jazeera English (@AJEnglish) October 9, 2025
人質全員の解放、イスラエル軍の撤退
カタールやトルコ、エジプト、アメリカの高官らは、エジプトの紅海沿岸にあるリゾート地、シャルム・エル・シェイクで「ハマス」やイスラエルの代表団と合流し、調停官らはトランプ大統領の「20項目の和平計画」をめぐる対立の解決を、双方に迫ったという。
計画の第一段階は、停戦と、ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質48人(生存が確認されている20人を含む)の解放、そしてイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人の解放が行われる予定となっている。
またイスラエル軍は、決められた境界線まで撤退をしなければならない。
この交渉では、イスラエルのネタニヤフ首相の側近である、ロン・ダーマー戦略問題相が参加。「ハマス」側は、指導者のハリル・アル・ハイヤ(Khalil al-Hayya)氏と、ザヘル・ジャバリン(Zaher Jabarin)氏が参加した。
この2人の交渉担当者は、先月カタールの首都ドーハで、イスラエルによる空爆が行われた際、生き残った人物とされている。
ただ「アルジャジーラ」の上級政治アナリスト、Marwan Bishara氏によれば、交渉ではまだ、イスラエルの撤退時期と規模、ガザ地区の戦後統治体制、「ハマス」の武装解除など、重要な詳細が詰められていないため、交渉は依然として「深刻な意見の相違」を抱え、緊張状態にあるという。
実際、イスラエルのネタニヤフ首相は、「ハマス」が武装解除するまで紛争は終結しないと述べており、「ハマス」内部でも、武装解除に関しては、意見が分かれているとも言われている。(了)
出典元:Aljazeera:Trump says Israel and Hamas sign off on first phase of Gaza ceasefire plan(10/8)