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アカウント停止問題で独メルケル首相がツイッター社を批判、その背景とは?

アカウント停止問題で独メルケル首相がツイッター社を批判、その背景とは?
flickr_European People's Party

トランプ大統領のアカウントが永久停止されたことを受け、ドイツのメルケル首相がツイッター社を非難したが、そこには一体どのような背景があるのだろうか?

 

法律に基づかず民間会社が規制すべきではない

 

先日、ツイッター社がトランプ大統領のアカウントを永久に凍結したことを受け、ドイツのメルケル首相はスポークスマンを通して、その措置を批判。

 

「表現の自由という基本的な権利への問題的な侵害だ」と述べて、ツイッター社を非難した。メルケル首相のスポークスマンであるSteffen Seibert氏は、実際に次のように述べている。

 

「表現の自由は重要な基本的な権利であり、規制当局によって定められたフレームワーク内において、法律に従った上でのみ制限されるべきであり、ソーシャルメディア・プラットフォーム(ツイッター社やフェイスブック社)の管理による決定によって制限されるべきではありません」

 

その上でSeibert氏は、アメリカ政府に対し、ツイッターやフェイスブックのようなプラットフォームに任せるのではなく、ネットの扇動を制限する法律を採用したドイツの手本を見習うべきだと述べている。

 

EUではSNS企業に削除などを義務付ける

 

そもそもドイツ(EU)では、ネットでのヘイトスピーチに関する法律を作り、それを2018年に施行しており、インターネットを取り締まる世界の最前線に立ってきたという。

 

その法律は「Network Enforcement Act」と呼ばれ、ソーシャルメディア企業に対して、違法と思われるコンテンツを通報されてから24時間以内に削除することを求め、それができなければ5000万ユーロの罰金が科されることになる。

 

つまりEUは、フェイスブックやツイッターなどのプラットフォームに対し、強制的に違法なコンテンツを削除させるために、規制当局に強力な力を与えようとしてきた。

 

しかしアメリカでは、従来からサイト(プラットフォーム)におけるコンテンツの監視を、テクノロジー企業自身に任せたままだったという。

 

また第3者がそのプラットフォームに投稿したコンテンツに関して、フェイスブック社やツイッター社が訴えられるのを防ぎ、保護する権利を合法的に与えてきたそうだ。

 

米でも規制の動きはあった

 

もっとも米議会の中でも数人が、このような保護に制限を設ける法案のための働きかけや、EUの「General Data Protection Regulation」のような新しいデータ・プライバシーに関する連邦法を成立させようとする政治的な動きもあった。

 

しかし結局、フェイブック社やツイッター社の自由を制限することができないまま、今回のようなトランプ大統領のアカウント停止問題が浮上した。

 

ツイッター社は、連邦議会乱入事件の後に、「トランプ大統領が繰り返し、規定に違反してきたため凍結した」と述べている。その判断に妥当な面はあるのかもしれないが、規定そのものが「極めて」曖昧だ。

 

このため規制されるべき差別発言を繰り返す人のアカウントも、放置されたまま。理不尽にアカウントを凍結された人が大量に生まれており、なんの説明も与えられず、裁判で訴えることもできない状況だ。また日本でもヘイトスピーチによって多くの若い命が失われているが、状況はほとんど変わっていない。(了)

 

巨大IT企業への規制強化、ヨーロッパ委員会が2つの法案を発表

EU内におけるヘイトスピーチ対策が向上、24時間以内に7割を削除

出典元:Financial Times:Angela Merkel attacks Twitter over Trump ban(10/12)

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