米退役将官ら19人が、政府に対しウクライナへの武器供与を増やすよう要求
アメリカの退役将官や元政府高官らが、バイデン政権に対し、ウクライナへの武器供与のペースを上げるよう要求した。
「領土の奪還には十分ではない」
そう要求しているのは、元NATO欧州軍最高司令官のフィリップ・ブリードラブ将軍などの退役将官や、3人の元ウクライナ大使、マリー・ヨバノビッチ氏、ジョン・ハーブスト氏、ウィリアム・テイラー氏などの政府高官ら、19人だ。
彼らは米メディアの「Hill」で公開された論評に署名。その中で退役将官らは、アメリカがこの戦争で膠着状態を作るための十分な武器を提供しているが、ウクライナがロシアに奪われた領土を奪還するには十分ではないと主張している。
またバイデン政権が、ロシアのエスカレーション(おそらく核兵器を含む)を誘発することを恐れて、武器供与を抑制していると主張。
しかし退役将官らは、ウクライナでプーチン大統領を倒すことができなければ、後に「より好ましくない理由で」モスクワと対立する危険性が高まると述べた。
過剰な警戒心から主導権を譲る
退役将官や元政府高官らは、具体的に次のように述べている。
「十分な支援を行うことで膠着状態は作れたが、ロシアが奪った領土を取り返すには十分ではない。バイデン政権は、意図せずして逆転負けを喫するかもしれない」
「ロシアのエスカレーション(通常兵器と核兵器)を刺激することへの過剰な警戒心から、我々は事実上ロシアのプーチン大統領に主導権を譲ってしまっている。そしてロシア政府に侵略を止めさせるための、または交渉に真剣に取り組むよう促すための、圧力を弱めている」
「ウクライナの勝利に必要な兵器の提供を遅らせれば、ロシアとの対立を避けられると思うかもしれない。(しかし)それどころか、より不利な条件でその危険に直面する確率を高めているに過ぎない」
長距離ミサイル、固定翼機などは提供せず
ウクライナへの武器供与のペースは、アメリカ政府とウクライナ政府、そして一部の東欧の同盟国との間で繰り返し摩擦の原因となってきた。
これまでアメリカは、バイデン政権下でウクライナにロケットランチャーを含む約100億ドルの軍事支援を行ったが、長距離ミサイル、固定翼機、特定の武装ドローンの提供には至っていない。
先月、バイデン政権の国家安全保障顧問であるジェイク・サリバン氏は「武器供与のペースは、武器を使う人々を訓練するという観点から、ウクライナの吸収能力によって限られている。NATOの同盟国に供与を支援してもらう必要がある」と述べている。(了)
出典元:The Guardian:19 retired generals and ex-officials urge US to increase arms supplies to Ukraine(8/17)