カップルが自分たちの関係を見直せる施設、その名も“愛の研究所”が米に誕生


米国・シアトルにカップルが自分たちの関係について分析し課題を考察することのできる“愛の研究所”がオープンし、注目を集めている。

 

数年前に閉鎖された“愛の研究所”が新たにオープン

 

この2月、“愛の研究所”との呼び名を持つ「the Gottman Institute」が米国・シアトルの地にオープンした。

 

同研究所の前身は、心理学者のJohn Gottman氏が1986年にワシントン大学で設立した研究所。

 

この研究所では神経を尖らせがちな話題についてカップルが議論を交わす様子を観察し、心臓の鼓動や血圧など心理的要因に起因する身体的な変化を計測することで、二人の関係性がどれほど強いものであるか評価してきたという。

 

さらに研究では観察を行ったカップルを、その後数年にもわたり追跡調査。

 

カップルにおいて二人の関係を強化、あるいは壊すことになってしまった行動がどのようなものであったか見極めてきたという。

 

研究所がこれまでの14年もの間に研究を行ってきたカップルは79組にも及び、John Gottman氏はそれによって導き出されたカップルが別れる背景には、4つの原因があると指摘。

 

その中身としては、軽蔑や怒り、嫌悪、そして批判や保身、心の壁を築いたり会話を拒否したりといったパートナーを見下す行為が含まれるとして、警鐘を鳴らしてきた。

 

一方、このオリジナルの研究所は数年前に閉鎖されてしまっていたが、今回パワーアップして帰ってくることになったという。

 

“ 愛の研究所”では何が行われている?

 

それでは一体パワーアップした“愛の研究所”ではどのようなことが行われているのだろうか。

 

the Gottman Instituteのホームページによると、訪れるカップルは同研究所でまる一日を過ごすこととなるという。

 

さらに“愛の研究所での経験“と題されたこのコースにかかる費用は、なんと4500ドル、日本円にして約48万円と超高額だ。

 

しかし同研究所のCarrie Cole氏に言わせると、「高額であるため、真剣にならざるをえない」という。

 

この“愛の研究所での経験”の中身はこうだ。

 

まず研究所を訪れたカップルには、生理学的な測定を行うための装置が装着される。

 

装置を取り付けられたカップルは、最近起きたことと、二人の間で合意が得られなかったことの二点について、ビデオカメラが回る中で話し合わなければならない。

 

それが終わると映像を見ながら話し合いを振り返り、まずは自分達で先の話合いについて評価を下す。

 

そしてそれが終了するとCole氏とご対面。Cole氏は36ページにも及ぶ分析結果と共に、二人の関係性の強さや今後待ち受けるであろう困難を指摘し、それらを踏まえた上で今後どのようにカップル間での問題に対処すればよいか指導するという。

 

さらに“愛の研究所での経験”には、Cole氏による処置を1日か3日受けることが可能なオプションまで付いているとのことだ。

 

Courtesy of Carrie Cole

 

カップルの評価に重要視されるのは生理的な指標

 

しかしカップル間の関係性の強固さ、あるいは二人の間に待ち受ける困難は、どのようにして導き出されているのだろうか。

 

カップルの関係性の強固さは、両者がさらけ出す感情までをも含めた様々なデータにより評価されるが、その際に最も重要視されるのはカップルに取り付けられた装置から得られる生理的な反応だ。

 

John Gottman氏の妻で“愛の研究所”で心理学者として働くJulie Schwartz Gottman氏は、これについて研究所で働き始めた当初、表面的に冷静さを保ったカップルが生理的には全く違う反応をみせていたことに“驚いた”としつつ、こう語る。

 

「ソファに座り議論を交わしているカップルであっても、ごく落ち着いて見えることがある。彼らはまるで天気について議論をしているようだ」

 

「このように落ち着き払って座っているカップルであっても、時には心拍数が140や150にまで達していることがある」

 

これはつまり科学技術を用いれば、カップルの両者やもしくは一人が本人ですら気付いていない悩みを抱えている際に、研究者がそれを見抜くことが可能ということになる。

 

Courtesy of Carrie Cole

 

別れる可能性が高くても、すぐに別れた方がよいわけではない?

 

しかし、この評価により離婚や別れる可能性が高いとの烙印を押されてしまったカップルはどうするのだろうか。

 

研究所でのGottman夫妻による処置では、カップルは争いの際に冷静さを保つことに集中させられるという。

 

もし一人が生理的な興奮がみられると判断される状態に至った際には、一度落ち着きを取り戻すために休憩を取らなければならないというが、Schwartz Gottman氏は「会話を続けるため戻ってくると、彼らはまるで脳を移植したかのように全く違って見え、全く違ったふうに話す」とのことだ。

 

また研究所のウェブサイトでは、もし研究所を訪れてパートナーと別れる可能性が非常に高いということが判明したとしても、すぐに別れた方がよいというわけではない、という旨もが明記されている。

 

ウェブサイトでは、研究所を訪れれば、自分たちの関係性において見直すべき点を変化させていこうという前向きな気持ちを抱くことができるとし、“離婚へと結びつくネガティブな言動から、成功へとつながるポジティブな言動へと変えていけば、パートナーとの関係性は変化し、より良いものになる”と綴っている。

 

関係を続けていくことを願いながらも、様々な困難に直面し悩むカップルは多い。そんなカップルが科学的な検証を交えながら自分たちの関係性を再考し、前へと進んでいく後押しをすることができるのであれば、なんとも意義深い研究だといえる。(了)

 

出典元:Business Insider:The psychologist who’s known for predicting divorce built a ‘love lab’ in Seattle where couples can have every aspect of their relationship analyzed and improved(2/23)