「自律型殺人兵器の開発に携わらない」2400人超の科学者が誓約書に署名
7月18日、人工知能の専門家である数千人の科学者らが、自ら人間を特定し許可なく殺すことができるロボットの開発や製造に携わらないことを宣言した。
イーロン・マスク氏も誓約書に署名
この宣言はスウェーデンの首都、ストックホルムで行われたAI国際共同会議において公開され、150以上のAI関連企業や、90カ国からの2400人以上に及ぶ科学者らが、この内容の誓約書にサインしたという。
誓約書は「Laws」と呼ばれる自律型殺人兵器システムの開発を阻止する目的で作られており、サインした人の中にはGoogleディープマインドのDemis Hassabis氏や、スペースX社CEOのイーロン・マスク氏もいたとされている。
またこの動きは、ロボットに懸念を抱いていた科学者や組織によって行われた最も新しいもので、彼らはAIの機能が高まったマシンに、生や死の決定を委ねることの危険性を強調するために参加したとされている。
この結果、次は新しい次世代の大量破壊兵器の導入を可能にさせる技術の予防的禁止を求めていくことになるという。
開発した企業を辱める
アメリカのボストンに拠点を置く組織、「The Future of Life Institute」により作成された今回の誓約書は、政府に対し殺人ロボットの製造を事実上違法にし、それを行った企業が非難される規範や法律、規制を設けることに同意を求めるものになるという。
殺人ロボットの開発抑制という手段が存在しない今日、この署名は参加者に対してだけでなく、自律型殺人兵器の開発や製造、貿易、使用を支援する人々に対しても誓うものとされている。
モントリオール研究所のYoshua Bengio氏は次のように語っている。
「もしこの誓約書が、自律型兵器を製造している会社や軍事組織を辱めることができるのなら、彼らに対する世論は揺れ動くでしょう」
「国際条約や公の辱めのおかげで、このようなアプローチは実際、地雷禁止において機能しました。もっともアメリカなどの主要な国々は地雷の禁止条約に署名はしていませんが、アメリカの企業はすでに地雷の製造をストップしているのです」
パイロットのいらない戦闘機も開発
このようなAI技術にとって、軍は最も大きな出資者とされており、すでに彼らは最新のコンピューターシステムを使ってロボットを敵の領土上空に飛ばしたり、地上を走行させたり、水中でパトロールさせることができるという。
そして7月16日には、イギリスのGavin Williamson国防大臣が、新しい空軍の次世代戦闘機の計画を発表。その戦闘機は「テンペスト」と呼ばれ、もはやパイロットがいなくても飛行できると言われている。
もっともイギリスでは自律型殺人兵器の開発や製造を行わないと大臣も公言しているが、活動家たちはAIだけでなく他の分野の急速な進歩によっても、恐ろしい自律型兵器の製造が実現可能になると警告している。(了)
出典元:The Guardian:Thousands of leading AI researchers sign pledge against killer robots(7/18)
出典元:UNSW:Tech leaders sign global pledge against autonomous weapons(7/18)