その数150万羽、南極でペンギンの知られざるスーパー・コロニーを発見
これまで明らかにされてこなかったアデリー・ペンギンのコロニーが発見され、しかもその規模が巨大だとして注目を集めている。
最近まで知られていなかった場所
そのコロニーが発見されたのは、南極半島北部の先端にある「Danger Islands」。ここは厚い氷に囲まれ、僻地にあるという。
しかしこのことが、研究者によって調査が行われるまでペンギンの巣が見つからず、隠されたままになっていたと考えられている。
この調査を率いたStony Brook大学の生態学者であるHeather Lynch教授は、「最近までDanger Islandsは、ペンギンの重要な生息地として知られていなかったのです」と語っている。
75万組のつがいが生息していた
このコロニーの存在を知るきっかけになったのが、NASAの人工衛星ランドサットからの映像で、そこには糞らしい黒い染みのようなものが大量に映っていたという。
またLynch教授らはペンギンの個体数を調べるため、チームを率いてDanger Islandsに上陸。地上で個体数を確認すると同時に、ドローンを使って空から島の状況を、1秒ごとに撮影した。
さらに撮影された膨大な数の画像から島の巨大な写真を作り上げ、自動的にペンギンの巣を探すため、神経ネットワークを分析するソフトを使用したそうだ。
その結果、島には75万1527組のつがいのいることが判明。その数は、南極半島の残りの場所に住むペンギンを合わせた数よりも多かったという。
この調査に参加したルイジアナ州立大学のMichael Polito教授も「アデリー・ペンギンの数の多さに驚かされました。島を囲む海域は、ペンギンで溢れかえっていました」と語っている。
ここでは個体数の減少は見られない
実は科学者はここ数10年間、気候変動や漁業などの人間による活動の影響で、アデリー・ペンギンの個体数が徐々に下降していると考えてきたそうだ。
しかしこの新しいコロニーは従来の生息地からも離れており、そのような状況にはないと見られているとか。Polito教授は次のように語っている。
「近年の気候変動の影響で、南極半島の西側ではペンギンの減少が見られましたが、Danger Islandsは大きなアデリー・ペンギンの群れを抱えているだけでなく、個体数の減少にも悩まされていないように見えます」
巨大なコロニーが見つかったことは朗報だが、今後も南極に住む動物を保護する取り組みは必要とされていくに違いない。(了)
出典元:INDEPENDENT:Previously unknown ‘supercolony’ of 1.5 million penguins discovered in Antarctica’s remote Danger Islands(3/2)
出典元:BBC:Penguin super-colony spotted from space(3/2)