アフリカの子供たちを救うため、豪の研究者がビタミンAの豊富な「スーパーバナナ」を開発
栄養が行き届かないアフリカの子供たちを救う可能性のある、「スーパーバナナ」が開発され、現在テストが繰り返されている。
ビタミンAが豊富なバナナを作る
そのバナナを開発したのは、オーストラリアにあるクイーンズランド大学のJames Dale教授らの研究チーム。
彼らは遺伝子組み換え技術を用い、10年以上かけてオーストラリア産のバナナから、ビタミンAの豊富な「スーパーバナナ」を作ることに成功したという。
そして現在はアフリカのウガンダの一般家庭で調理用として使われているバナナにこの技術を応用し、実際に試験的に育てており、現在最初の実がついているそうだ。
アフリカのバナナはビタミンAが少ない
そもそもビタミンAが不足すると目が見えなくなる障害を引き起こし、免疫システムを損ない、脳の発達にも大きな影響を与えるとされている。
しかも東アフリカの高地にあるバナナは通常細かく切り、蒸すなどして調理され、現地の人々の主要品目になっているが、微量栄養素のレベルが低く、特に動物の体内でビタミンAに変わる「プロビタミンA」や鉄分が少ないそうだ。
また研究者のJean-Yves Paul氏によれば毎年、世界中で70万人の子供たちがビタミンAの不足で死亡しており、特に都会から離れたエリアではこの影響が大きいという。
そしてさまざまな果物の中でも、バナナはビタミンAや鉄分のレベルを引き上げるには、最適なフルーツだと語っている。
世代を変えてもビタミンAの量は維持
研究者は当初、パプアニューギニア産のバナナから遺伝子を抽出し、それをオーストラリア産のキャベンディッシュという品種に組み込んだそうだ。
そして数百に及ぶ遺伝子を組み合わせて、豊富なビタミンAを生み出す「エリート遺伝子」を突き止め、中身が濃い黄色の栄養豊富なバナナを作り上げた。
しかもテストにおいて研究者らは当初、バナナが新しい実をつけるなど世代を変えていくごとに、プロビタミンAが失われていくことを懸念していたが、そのような事態は起こらなかったという。
それどころか5世代を越えても、そのバナナはプロビタミンの量を維持しており、いくつかのケースでは何度も栄養素が増加したことさえあったと語っている。
エリート遺伝子がウガンダへ送られる
現在、この「エリート遺伝子」はウガンダへ送られ、現地で育ったバナナに組み込まれて、実際にフィールドテストが行われているという。
しかもクイーンズランド大学でPhD課程を終了したウガンダの学生が、現地でこのテストと調査を監督しているそうだ。
もっともテストは今後も続けられ、あと6年かけなければウガンダで食べることはできないとか。
それでも現地産の「スーパーバナナ」が成功すれば、東アフリカに住む数千人の子供たちの命を救う可能性があるという。(了)
出典元:PHYSORG:Team develops golden bananas high in pro-vitamin A(7/7)
出典元:ABC:Bananas with boosted vitamin A developed in Queensland to save African lives(7/7)