夜空に浮かぶ不思議な薄紫の帯、新しい発光現象の詳細が調査で明らかに
オーロラ愛好家たちが新しいタイプの光の現象を発見したとして、話題となっている。
●研究者が衛星を使い調査
その現象とは「スティーブ」と名付けられ、上空を薄紫の帯のように走る光のことを指すという。しかし以前はオーロラ愛好家たちの間で「プロトン・アーク(弧の形をした陽子によるオーロラ)」と呼ばれていたそうだ。
カナダにあるカルガリー大学のEric Donovan教授は、愛好家達のフェイスブックにシェアされた写真を偶然発見。だが彼らが呼ぶ「プロトン・アーク」は、はっきりとは目に見えないことを理解していた。
そのため彼と同僚は、地球の磁場を調べる欧州宇宙機関(ESA)の衛星群「Swarm」を使って調査を開始したという。
「Swarm」とは3つの衛星を同時に使って磁気圏のデータを収集するもので、地上からの観測結果とこの「Swarm」の動きを合わせることにより、「スティーブ」の詳細が明らかとなる。
●上空300kmを通るガスの流れ
調査によれば衛星が薄紫の帯に入った時には、上空300km地点に達しており、中心の温度が外側よりも3000℃も高いことが分かったという。
さらに薄紫の帯は幅が25kmもあるガスの流れであることも判明。しかも帯の両サイドの速さが秒速10mだったにも関わらず、中心はその600倍にあたる秒速6000mにも達していたことが明らかとなる。
しかもこの現象については今までほとんど知られていなかったが、実は頻繁に起きていたことも分かったそうだ。
Donovan教授は取材に対して次のように語っている。
「スティーブは実際には驚く程よく起きる現象だとわかりました。しかし以前、私たちは気付かなかった。この成果は地上観測と衛星のおかげです。また今日アクセスできるデータの爆発的な量と、多くの市民科学者の力が合わさったおかげです」
ちなみに「スティーブ」という名前は2006年に公開された子供向けの映画から、愛好家らによって付けられたといわれている。(了)
出展元:ABC:New atmospheric phenomenon named Steve discovered by aurora watchers(4/24)
出展元:BBC:Aurora photographers find new night sky lights and call them Steve(4/23)