豪のグレート・バリア・リーフ、3分の2以上に深刻な白化現象

ARC Centre for Excellence for Coral Reef Studies
●褐虫藻が離れて起きる白化現象
白化現象とはサンゴが弱り、白く染まってしまう現象のこと。そもそもサンゴは体の周りに褐虫藻という藻類をまとわせて、美しい色を浮かべているという。 そして植物である褐虫藻は光合成を行い、酵素とエネルギーをサンゴに供給。それを受け取ったサンゴが褐虫藻に必要な二酸化炭素を与えることで、両者は共存しているそうだ。 しかし海水温の上昇や環境の変化によりサンゴがストレスを受けると、褐虫藻が離れて行き、白化現象が起きると考えられている。●数年で回復の可能性があった
英紙Independentによれば、昨年の調査ではグレート・バリア・リーフの北部と中部のうち35%が白化現象を起こし、死ぬかもしくは死につつある状態だったという。 ただサンゴ礁は白化現象ですぐに死滅するわけではなく、数年はかかるものの海水温が低下すれば褐虫藻も戻り、サンゴも回復することが可能と考えられてきたそうだ。
●3分の2が白化現象を起こしていた
しかし今年の3月、ジェームズクック大学のTerry Hughes教授やJames Kerry博士らが空中から北部・中部の8000kmに及ぶ範囲を調べた結果、3分の2以上が白化現象を起こしていたことが判明。 これは最近、オーストラリアを襲ったサイクロン「デビー」や昨年のエルニーニョに加えて、地球温暖化による海水温の劇的な上昇が最も大きな原因と考えられているそうだ。
●1、2度上昇するだけでダメージ
Kerry博士によると、海水が平均最高温度を1~2度上回り、その状態が3~4週間続くだけで、サンゴ礁によっては厳しい環境となり、白化するだけでなく茹って死滅してしまうという。 そして今回そのような事態がサンゴに起きたのではないかと推測されている。