JAXAが開発した宇宙ステーション内を撮影するカメラ、「イントボール」がカワイイ
地上からの遠隔操作により宇宙空間を移動して撮影する、JAXA初の移動型カメラである「JEM自律移動型船内カメラ(Int-Ball:イントボール)」の映像が初めて公開された。
空間を移動し、静止画と動画の撮影
「Int-Ball」は2017年6月4日に打ち上げられたアメリカのドラゴン補給船運用11号機により、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に運ばれ、現在、初期検証が行われているという。
筑波宇宙センター(TKSC)からの遠隔操作を受け、自律的に空間を移動し、静止画と動画を撮影。その映像は、リアルタイムで地上の管制官や研究者が確認し、宇宙飛行士にフィードバックすることができるそうだ。
既存のドローン技術を採用し、かつ外装(筐体)と内部構造をオール3Dプリントで製造しているとか。
「Int-Ball」が目指すこと
これまで宇宙飛行士の作業時間の約10%程度を撮影作業が占めていたが、最終的には宇宙飛行士による撮影時間「ゼロ」を目指しているという。
それを実現するため、「Int-Ball」は自律飛行により好きな時に好きな場所へ移動し、自由な角度から撮影を行うことができるとか。
また地上の管制官や研究者は、宇宙飛行士と同じ視点から作業を確認することができるため、地上と宇宙の共同作業を効率的に行うことで、「きぼう」利用実験による成果の最大化に貢献することを目的としているそうだ。
今後は「Int-Ball」の更なる性能向上・機能拡張を図り、「きぼう」船内外実験の自動化・自律化を進めると共に、将来探査ミッション等に利用可能なロボティクス技術の獲得を目指すとしている。
日本の超小型衛星放出が評価
また7月20日には、「ISS Research Award」が発表され、JAXAの「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出が、米国ナノラック社の活動と合わせて受賞した。
JAXAが開発した「J-SSOD」(JEM小型衛星軌道展開装置)は、ISSの「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出を通じて、ISSにおける新たな利用を開拓し、ビジネスや国際協力の可能性を拡げてきたという。
特にアジア地域をはじめとして打上げ手段を持たない国にISS利用の機会を提供し、キャパシティビルディングを促進する重要な役割を担ったそうだ。
その実績として、JAXAはフィリピン初の国産衛星「DIWATA-1」の放出を成功させた。
「DIWATA-1」の開発は、東北大学、北海道大学、フィリピン科学技術省(DOST)が共同で行い、JAXAはISS軌道への打ち上げと衛星放出を担当したが、この4者の協力により、フィリピンの宇宙開発の歴史の中で、日本とフィリピンとの緊密な協力関係を構築したという。
さらにJAXAは、2015年以降、開発途上国の宇宙技術の向上を促進するために、国際連合宇宙部団(UNOOSA)と協力してCubeSatの利用機会を提供しているそうだ。
こういった活動を通じて今回、JAXAの超小型衛星放出(J-SSOD)がアジア諸国や世界の宇宙利用の拡大・向上への貢献として評価される。
日本の活動レベルの高さを示す
「ISS Research Award」 は、イノベーションの創出や顕著な成果等、国際宇宙ステーション(ISS)で素晴らしい成果を上げた研究を選定し、表彰するもの。
アメリカのAAS(American Astronautical Society)が、NASAやCASIS(The Center for the Advancement of Science in Space: 米国のNPO法人)や各国際パートナーからノミネートされた候補から選び、毎年アメリカで開催されるISS R&D Conference(NASA, AAS, CASISが主催するISSの様々な活動を紹介するイベント)の中で表彰しているという。
2013年から毎年行われ、2016年までに計40件が表彰されているが、日本の実験では2014年、2016年に引き続きの受賞となった。
2017年は計8件が新たに選ばれたが、アメリカのISS科学研究・技術開発が中心の中で、日本のJ-SSODが表彰されることは、日本のISS利用にかかわる活動のレベルの高さを示すものとされている。
出典元:JAXA:きぼう船内ドローン「Int-Ball」からの映像初公開!(7/14)
出展元JAXA:「きぼう」からの超小型衛星放出の利用促進活動が、2017年の ISS Research Awards(Innovation Award- Commercialization分野)を受賞!!(7/21)