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ボノボやチンパンジーが、何十年も仲間の顔を覚えている可能性

ボノボやチンパンジーが、何十年も仲間の顔を覚えている可能性
flickr_Keith Roper

ボノボやチンパンジーの長期記憶に関する研究が行われ、かなりの期間、仲間の顔を覚えている可能性が示された。

 

26頭に仲間の写真を見せ、視線を追跡

 

この研究の筆頭著者で、カリフォルニア大学バークレー校のローラ・ルイス博士によれば、そもそもこれまで知られている人間以外の動物の記憶力の最長記録はイルカで、仲間の発声を20年間記憶できるという。

 

またボノボ(チンパンジー属)は、仲間の発声を最大5年半記憶していることが判明しているそうだ。

 

そして今回、ルイス博士らは、26頭のボノボとチンパンジーに、他の仲間たちの写真を並べて見せ、彼らの視線を追跡。その結果、人間以外の動物の中で、最も長い長期記憶を示したという。

 

26年以上会っていない親族に強い反応

 

研究チームは、チンパンジーやボノボたちに、2枚の写真を見せたという。

 

その1枚の写真には、今まで会ったことのない類人猿が写っており、もう1枚には死亡したか、少なくとも9カ月前に別の場所に移された元のグループの仲間が写っていた。

 

そして視線を追跡したところ、彼らは見知らぬ存在よりも、元のグループの仲間の画像を見ることに、長い時間を費やしたことが示されたそうだ。研究チームは論文において、次のように記している。

 

「最も極端なケースでは、ボノボの『ルイーズ』は実験当時、妹のロレッタにも甥のエリンにも26年以上会っていませんでした。驚くべきことに、彼女はロレッタとエリンの両方に対して強い注意を示しました」

 

関係が良好なほど、長く見つめる

 

またこの実験では、元のグループの仲間との関係が否定的ではなく、肯定的なものであった場合、彼らの写真を見つめる時間が長かったことも示唆されたという。ルイス博士は、次のように述べている。

 

「類人猿が他者と築く肯定的な関係は、互いに近くでより多くの時間を過ごし、毛づくろいをし合うという特徴があります。したがって、これらの関係は、何年も離れていた後でも、類人猿にとってより顕著である可能性があります」

 

ルイス博士によれば、このような長期記憶を持つ要因の1つの可能性として、メスが生殖年齢に達すると、近親交配を避けるため、生まれた集団を離れて隣の集団に加わることが挙げられるという。

 

つまり他者への長期記憶を持つことが、この種の社会的力学において、役立つケースになる可能性があるそうだ。

 

ルイス博士は「この社会的記憶の長さと性質は、私たち人間の長期記憶と非常によく似ているので、これは驚くべきことです」と述べている。(了)

 

出典元:The Guardian:Chimps can recognise peers decades later – especially if they got on well(12/18)

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