火星の山で、オリンピックプール60個分に相当する霜を発見
火星を調査している研究者により、山頂で莫大な量の水からできた霜が発見された。
3つの火山の頂上で発見
この調査を行ったのは、アメリカ・ブラウン大学のポスドク研究員、アドマス・バランティナス氏が率いる国際研究チームだ。
まず、火星を周回する欧州宇宙機関の火星探査機、「エクソマーズ」と「マーズ・エクスプレス」が、霜の画像を3万枚以上撮影。その後、国際研究者チームが分析したという。
その結果、薄くて広範囲に広がる水霜の層が、火星の赤道上にある、12の大きな山々が連なるタルシス火山の3つの山、「オリンポス山」、「アルシア・アスクレイオス山」、「ケラウニウス・トゥルス山」の頂上で見つかったという。
研究者らは、寒い季節に発生する霜は、少なくとも15万トンの水になると計算しており、「これはオリンピックサイズのプールの約60個分に相当する」と、6月10日に発表されたプレスリリースで報告している。
日の出の間に「カルデラ」で形成
発表された研究によれば、霜の層は非常に薄く、厚さは100分の1ミリメートル、つまり人間の髪の毛ほどしかないという。
また霜は、日の出の間、噴火の後に形成される巨大な窪み「カルデラ」において形成され、日中に蒸発するそうだ。
研究者らは、カルデラ上を循環する空気が「薄い霜の形成を可能にする独特の気候」を作り出している、と仮説を立てている。
そもそもバランティナス氏によれば、日中の火星の表面と山頂の両方で気温が比較的高く保たれているため、火星の赤道上で霜が形成されるのは起こり得ないと考えていたという。その上で同氏は、次のように述べている。
「私たちが目にしているのは、現代の火星における、古代の気候サイクルの名残かもしれません。過去にはこれらの火山で降雨があり、雪が降った可能性もあります」(了)
出典元:ABC News:Water frost detected on Mars’ volcanoes in ‘significant’ first discovery: Study(6/11)