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「フィリップモリス」がタバコ研究に資金提供、科学を操作していると非難

「フィリップモリス」がタバコ研究に資金提供、科学を操作していると非難
X_Tobacco Control Research Group

アメリカに本社を置く世界最大のタバコ・メーカー「フィリップモリス・インターナショナル(PMI)」が、利益のために科学を操作していると非難されている。

 

日本の子会社が京都大学に資金提供か?

 

イギリス・バース大学のタバコ規制研究グループ(Tobacco Control Research Group)が発表した研究論文によると、日本の子会社「フィリップモリス・ジャパン(PMJ)」は、第三者の研究機関を通じて京都大学の禁煙に関する研究に資金を提供したという。

 

もっとも研究者は、PMJの関与を示す公的な記録は見つからなかったと述べているが、2021年にギリシャで開かれた学術会議で結果が示された際、PMIの広報担当者が、この関与を認めていたそうだ。

 

またPMJが、東京大学の教授らが経営するライフサイエンス・コンサルタント「FTI-Innovations」に対し、学術イベントでPMIの科学や製品を宣伝するなどの業務に対して、月額約300万円を支払っていたという。

 

ある内部メールでは、PMJの従業員が、「秘密にしておくように」と言われたと書かれていたそうだ。

 

「利益のための科学の操作は、害を及ぼす」

 

バース大学の研究論文は、科学誌「Nicotine & Tobacco Research」で発表され、それらは2012年から2020年の間に漏洩した、24件(論文では23件)に及ぶ企業文書に基づいているという。

 

研究者は論文の中で、「これらの活動は、科学の実施、出版、範囲に影響を与え、科学活動を隠蔽するための既知の戦略に似ている」と指摘。論文の著者の一人であるソフィー・ブラズネル博士も、次のように述べている。

 

「利益のために科学を操作することは、私たち全員、特に政策立案者や、人生を変える決定を下そうとしている消費者に害を及ぼします。それは有害な製品の広範な使用を奨励しながら、公衆衛生政策を遅らせ、弱体化させるのです」と述べた。

 

その上でブラズネル博士は、科学を既得権益から守るために、タバコ研究への資金提供と管理の改革を求めた。

 

加熱式タバコの戦略に東京五輪も利用か?

 

タバコ業界の監視団体である「Stopping Tobacco Organizations and Products(Stop)」も、PMIやPMJから流出した文書には、加熱式タバコ製品「IQOS」に非喫煙者を惹き付けるためのマーケティング戦略の一環として、政治家、医師、2020年の東京オリンピックをターゲットにする計画が明らかにされていたと述べている。

 

日本では「IQOS」を発売しており、Stopは、PMIがこの計画を他の機会でも適用するのではないかと疑っているという。

 

さらにStopは、PMJが喫煙禁止エリアでの「IQOS」の使用許可を求めてロビー活動を行っているようだとし、医療およびホスピタリティ団体、日本の消防庁を含む団体がターゲットにされていた、との見方を示している。(了)

 

出典元:The Guardian:Tobacco giant accused of ‘manipulating science’ to attract non-smokers(6/28)

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