AIを搭載した「殺人ロボット」の脅威、短編動画に描かれた戦慄の未来とは
「殺人ロボット」と呼ばれる自律型兵器の禁止を訴える研究者らが、未来に警鐘を鳴らす短編動画「スローターボッツ」を制作し、注目されている。
AIを搭載した小型ドローンの実演
その動画を制作したのは、カリフォルニア大学バークリー校のステュアート・ラッセル教授らとされている。
彼らはスイスのジュネーブで開かれる国連の通常兵器に関する会議で、論議が行われるのに合わせ、自律型兵器の世界的な禁止に支持を集めるために制作したという。
動画の中では、まず昆虫ほどの大きさの小型のドローンが登場。AIが搭載されているため、人間が手を伸ばし捕まえようとしても、すぐに逃げることができる。
しかもドローンに殺害を命じれば、人形の頭部に接近して銃弾を発射。簡単に人形を破壊する様子も紹介している。
大学構内で大量殺人、国会議員も暗殺
また動画では、これらのAIドローンを使って、将来起こり得る事件を再現。そこには犯罪者によって指令を受けた無数のドローンが、米議会議事堂を襲い特定の上院議員が狙われたという報道が伝えられていく。
さらに犯罪者はドローンに指令を出し、今度は大学のキャンパスを急襲。ドローンが壁に穴をあけて校内に侵入し、顔認識システムを使ってターゲットを特定、殺戮を行う様子を描き出している。
再現動画の冒頭では大量のドローンが輸送機から投下される場面が映っており、解説者は「2500万ドル(約28億円)相当の注文が入っている。街の人口の半分をゆうに殺害できる」とも語っている。
AI兵器は核兵器と同様の脅威
もっともこのような技術は、現段階ではまだ実用化されてはいない。しかし今後技術が進めば、同様の兵器が戦争や犯罪に使用される可能性は高い。
研究者によれば、複数の大国が自律型兵器へと動きつつあり、もしその中の1国が配備すれば、世界的な軍拡競争の引き金になりかねないという。
そのためAIの研究者たちは数年前からそうした事態を懸念して、自律型兵器の禁止を訴えてきた。彼らはいずれテロ組織がこうしたドローンを入手して、大量殺人に利用する可能性もあると警告しているそうだ。
米ハーバード大学ベルファーセンターでもこの夏に発表した報告書の中で、AIを使った兵器は核兵器と同じくらいの影響力をもつようになると警告している。(了)
※再現ビデオは3分頃から。
出典元:CNN:‘Slaughterbots’ film shows potential horrors of killer drones(11/14)