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IT関連の株価を下落させた、「DeepSeek」のAIチャットボットとは?

IT関連の株価を下落させた、「DeepSeek」のAIチャットボットとは?
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中国の新興AI開発企業「DeepSeek」が先日、新型AIチャットボット「R1」を発表し、アプリストアのチャートでトップに躍り出た。

 

アメリカの優位性が揺らぐことを懸念

 

「DeepSeek」のAIチャットボットが発表された後、AI分野でのアメリカの優位性が揺らぐとの懸念が高まり、ニューヨーク市場では1月20日、AIチップメーカー最大手の企業「Nvidia」 の株価が、取引開始時に17%以上急落。時価総額が5900億ドル(約90兆円)近く減少したという。

 

他にもグーグルの親会社「Alphabet」が4%安、「マイクロソフト」が2%安、ソフトウェア大手の「オラクル」も14%安となり、主にデータセンターや半導体など、AIインフラに多額の投資を行っている企業を中心に値下がり、テクノロジー株中心のNasdaq市場も3.5%急落したそうだ。

 

「DeepSeek」によれば、公開した初期テストでの品質は他のAI製品に匹敵するが、競合他社よりもコストが低く、使用する専用チップもはるかに少ないという。そして「R1」は先週末に発表されてから、アップルの「App Store」のランキングで、トップに立ったそうだ。

 

「DeepSeek」の「R1」とは?

 

「DeepSeek」の「R1」は、「OpenAI」社の「ChatGPT」と同じように、ネット上の何十億ものテキストをスキャンして学習し、それに基づいて言葉を選択し、ユーザーらに返答するチャットボットだ。

 

このアプリは中国製だが、英語を含む複数の言語で利用でき、完全に無料で提供されるという。一方、「ChatGPT」にも、無料で利用できるバージョンもあるが、追加機能にアクセスするためには月額20ドルと200ドルの有料プランに入らなければならない。

 

しかも「DeepSeek」の開発者は、これをオープンソース製品としてリリースすることを選択。実際、AIシステムの基盤となるコードは、他の企業も利用できるように公開されている。一方、「ChatGPT」と「Alphabet」の「Gemini」はクローズドソース・モデルとなる。

 

他社へコスト削減の圧力をかける

 

「DeepSeek」のAIを動かすシステム「DeepSeek-V3」の開発者は先日、この技術がアメリカの競合他社よりもはるかに少ない、専用のコンピュータチップに依存していることを示す研究論文を発表した。

 

また「DeepSeek」側は、チャットボットの開発に560万ドル(約8.7億円)しかかけていないと述べており、これが本当であれば、この分野のアメリカ企業が費やした数億ドルの開発費用よりもはるかに少ないことになる。

 

アメリカ・アレンAI研究所のCEOで、ワシントン大学のコンピューターサイエンス教授であるオレン・エツィオーニ氏は、ABCニュースに次のように語っている。

 

「DeepSeekのトレーニングコストが低いということは、より低コストで提供できることを意味します。それは他の企業に、価格を下げさせる圧力をかけるでしょう」

 

一方で検閲などへの懸念も

 

専門家によれば「DeepSeek」は、多くのアナリストがこれまでアメリカ企業が支配していると見ていたAI分野で、中国のテクノロジー分野の強みを発揮しているという。

 

その一方で、中国企業「バイトダンス」が所有するTikTokに向けられたのと同様、すでにこのチャットボットには、データセキュリティとコンテンツの検閲に関する懸念が生まれているそうだ。

 

実際、ネット上には、1989年の天安門事件での反政府デモ隊に対する虐殺など、中国政府にとって敏感な話題について「DeepSeek」が回答を控えることを選択した例が、数多く投稿されているという。

 

また「OpenAI」社は、「DeepSeek」が自社の「ChatGPT」のAIモデルを利用して、新たなチャットボットを開発したと主張している。(了)

 

出典元:ABC News:What is DeepSeek? The AI chatbot is topping app store charts(1/28)

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