2032年に地球に衝突する可能性がある小惑星、天文学者らが警戒
幅100メートルの小惑星が2032年に地球に衝突する可能性があるとし、天文学者らが警戒しながら、観測を続けている。
地球に衝突する確率は1.3%
その小惑星とは「2024 YR4」だ。これは昨年12月27日にチリの自動望遠鏡で発見されたが、その後、アメリカとヨーロッパの宇宙機関において、衝突の可能性が最も高いと指摘されたという。※「2024 YR4」の直径は40mから100mの範囲と考えられている。
これまでに収集された測定値に基づくと、この小惑星が2032年12月22日に地球に衝突する確率は1.3%、言い換えれば、何事もなく通り過ぎる確率は、ほぼ99%となる。
とは言え、この小惑星はトリノ衝突危険度スケールで「3」と評価されており、今後10年間に衝突して「局所的な破壊」を引き起こす可能性が1%以上あるため、天文学者が注意しておく必要があると考えられている。
都市に被害を引き起こす可能性
トリノスケールは、リスクがない「0」から、衝突が確実で、文明の未来に脅威となる「10」までの範囲で表されるという。
「3」よりも高い評価を受けた唯一の小惑星は、2004年に話題になった小惑星「Apophis」だ。
「Apophis」は当初、トリノスケールで「4」と評価されていたが、観測により少なくとも1世紀は脅威をもたらさないことが示されたため、後に格下げされた。
今回の「2024 YR4」は、たとえ地球に衝突しても、恐竜が大量絶滅したような被害を与えることはない。しかし幅100メートルの宇宙岩石は、都市に壊滅的な被害を引き起こす可能性があると考えられている。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの惑星科学者、ガレス・コリンズ教授は、地球近傍天体の監視が強化されれば、小惑星「2024 YR4」のような検出がはるかに一般的になるだろうとし、「現段階では、できるだけ長く小惑星を追跡し、軌道をより自信を持って予測できるようにするのが最善策だ」と述べている。
2つのグループが活動を開始
この小惑星の検出により、国連が承認した2つの世界的な小惑星対応グループが、活動を開始したという。
最初のグループとは「国際小惑星警報ネットワーク」だ。すでにこの組織は、小惑星のさらなる観測と軌道の不確実性の絞り込みのために、行動を開始した。
「宇宙ミッション計画諮問グループ(Space Mission Planning Advisory Group)」も警戒しており、彼らはNASAの「ダートミッション」で試された探査機で迎撃し、小惑星を逸らす手法など、介入する計画を提案すると考えられている。
「2024 YR4」は現在、地球から遠ざかっており、やがて観測不能になる。2028年には再び観測できるようになるが、2032年に衝突の可能性が否定されなければ、それまでの間、衝突のリスクがある小惑星のリストに載ったままになるようだ。(了)
出典元:The Guardian:Asteroid triggers global defence plan amid chance of collision with Earth in 2032(1/30)