ツタンカーメンの墓で、「オシリスの目覚め」の儀式が行われていた可能性

古代エジプトの墓を調査している研究者が、埋葬室で「オシリスの目覚め」と呼ばれる儀式が行われていた証拠を発見したという。
息子により目覚めた冥界の神
「オシリス」とは、古代エジプトの冥界の神で、神話によると、兄のセトに殺された後、息子のホルスがオシリスに杖を振り、目覚めるよう命じて、生き返ったという。
イェール大学のエジプト学博士研究員である、ニコラス・ブラウン氏はツタンカーメンの墓の発掘記録を再調査している時、その埋葬室で4つの土製の桶と4本の杖があることに気づいたそうだ。
この4つの桶には、おそらく水と思われる神酒が入れられ、ツタンカーメンのミイラの上か、近くに注がれたと考えられている。また4本の杖は、ホルスが使った杖を表していたと思われるそうだ。
ブラウン氏は、この発見についての研究論文を、2月22日に科学誌「The Journal of Egyptian Archaeology」で発表。メディアに対して「この埋葬室全体が、後世に知られる『オシリスの目覚め』と呼ばれる葬儀の儀式を、再現するために設置されたようだ」と述べた。
またブラウン氏によれば、今回の発見は、「ファラオ」に対してこの儀式が行われた最古の証拠だという。
腐敗した死体を若返らせる水
当時、神酒に入った液体は、腐敗した死体を若返らせ、体に生命を与える液体を回復させるために必要だったと信じられていたそうだ。
またこれらの神聖な水は、ナイル川から汲み上げられ、「ホルスの目」として知られており、「死や悪に打ち勝ち、再生の強力な象徴」だったと考えられている。
さらに4つの桶と4本の杖は重要な方位を表し、「死者を象徴的に囲んで保護する」ものだったと思われるという。
一神教への転換により儀式が許されず
ツタンカーメンの父、ファラオのアケナテンは、エジプトの宗教を太陽神「アテン」を中心とした一神教へと転換。その結果、アケナテンは他の神々の名前や像を壊す、偶像破壊まで命じたという。
またこの革命は、オシリスによる復活に焦点を当てた来世信仰にも影響を与え、儀式も許されなくなったそうだ。
しかしツタンカーメンが権力を握ると、この革命は覆され、エジプトは多神教に戻り、オシリス信仰も許されるようになったという。
そして今回の発見は、復活の儀式が再び行われたことを示しているそうだ。
ドイツ・ミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学の博士課程の学生で、研究者のパウラ・ベイガ氏も、今回の研究には参加していないが、ブラウン氏の結論を概ね支持しているという。(了)
出典元:Livescience:Mysterious artifacts from King Tut’s tomb might have been used in ‘awakening Osiris’ ritual(3/28)