NASAの職員らが、トランプ政権による大規模な予算削減に抗議

NASAの職員らが、無差別な予算削減に反対する痛烈な意見を表明し、長官代行へ書簡を提出した。
「壊滅的な結果を招く」と警告
「ボイジャー宣言」と題されたこの正式な書簡は、7月7日に任命されたトランプ大統領の熱烈な支持者であり、運輸長官も兼任するショーン・ダフィーNASA長官代行に宛てられたという。
この書簡には、少なくとも4人の宇宙飛行士を含む、NASAの現職および元職員約300人が署名したそうだ。
書簡では、「科学研究助成金や職員、国際ミッションへの削減案が実施されれば、壊滅的な結果を招く」と警告しており、さらに次のように述べられている。
「NASAにおける主要なプログラムの変更は、リスクを慎重に管理できるよう、戦略的に実施されなければならない。それどころか、この6カ月間は急速かつ無駄な変更が続き、私たちの使命を損ない、NASAの職員に壊滅的な影響を与えました。私たちの指導部が、人々の安全、科学の進歩、そして公共資源の効率的な活用よりも、政治的な勢いを優先している現状において、私たちは声を上げざるを得ません。これらの削減は恣意的であり、議会の歳出法に反して実施されました。NASAと国家にとって、その影響は甚大です」
NASAの職員2600名を解雇
メディア「ポリティコ」によると、トランプ大統領のかつての盟友であったイーロン・マスク氏は、「政府効率化省(Doge)」から退く前に、NASAの1万7000人以上の職員のうち、少なくとも2600人を解雇したという。
そしてこれまでのところ、 NASAへの助成金、少なくとも1億2000万ドルが打ち切られ、トランプ政権は来年度のNASAの総予算の4分の1を削減することを提案したそうだ。
しかしこれにより、国際ミッションは中止され、2026年にはNASAの科学予算のほぼ半分が削減される可能性がある。
この書簡に署名した人々は、科学技術における世界のリーダーとしてのアメリカの役割を確保するため、国家安全保障を支えるNASAの研究への無差別な削減に反対するとし、次のように訴えた。
「宇宙科学、航空学、そして地球の管理に関する基礎研究は、本質的に政府の機能であり、民間部門が担うことはできない」
今年6月には、国立衛生研究所(NIH)の少なくとも300人の職員が、トランプ政権により打ち切られ、または延期された救命治療への助成金の復活を求める宣言を発表した。
また7月初旬には、環境保護庁(EPA)の職員140人が、助成金の打ち切りに抗議。トランプ政権が科学的コンセンサスを無視しているとする書簡に署名した後、休職処分を受けたという。(了)
出典元:The Guardian:Hundreds of Nasa workers rebuke ‘arbitrary’ Trump cuts in scathing letter(7/21)