ホーキング博士が残したエッセイ、「スーパーヒューマン」の出現を予言
今年3月に76歳で亡くなった、イギリスの宇宙物理学者スティーブン・ホーキング博士。彼が残したエッセイが公開され、注目を集めている。
新たな種の「スーパーヒューマン」
そのエッセイは、今週の火曜日に出版された「Brief Answers to the Big Questions(大きな疑問への簡潔な回答)」という本の準備のために書かれたとされ、日曜日にTHE TIMESに掲載されたものだという。
その中で博士は、自身や子供のDNAを編集するために選ばれた富裕層の中から、「スーパーヒューマン」と呼ばれる新たな人類が作られる可能性を予言しているという。
エッセイでは、現在の遺伝子工学を使えば、「スーパーヒューマン」を創り出せるとしており、その種は残りの人類を破滅させることができるとしている。
科学者は人間改良の誘惑に抗えない
ホーキング博士はエッセイの中で次のように語っている。
「私は確信しています。今世紀中に人々は人間の知能と、攻撃性のような本能の両方を改変させる方法を発見するでしょう」
「法律は恐らく、人間に遺伝子工学技術を導入することに反対して、可決されるでしょう。しかし一部の人々は人間の特性、例えば記憶力や病気への抵抗力、寿命の長さなどを改良するという誘惑に抗えないでしょう」
その上で博士は、富裕層の人間が遺伝子構造を編集することを選べるようになると示唆。
さらに記憶力や病気への抵抗力、知能が高められ、寿命が延びる「スーパーヒューマン」なるものが作り上げられると予言している。
改良されない人間は滅びる?
またホーキング博士によれば、遺伝子工学における大きな進歩(突破口)が、自分自身を改良しようとする人々を惹きつけると予想。同時に改良されていない人間についても示唆しており、次のように述べている。
「一度、スーパーヒューマンのような存在が出現すれば、改良されていない人間に関して大きな政治問題が生じるでしょう。彼らはもはや競い合うことができない。たぶん、彼らは死に絶えていくか、重要ではない人間になるでしょう。その代わりに、自分自身を改良しデザインしていく種が存在することになるのです」
博士はエッセイの中で、6年前に開発されたDNA編集システム「Crispr-Cas9」についても言及しており、これはすでに有害なDNAを改良したり、新しいものを加えたりできる技術とされている。(了)
出典元:The Guardian:Essays reveal Stephen Hawking predicted race of ‘superhumans’(10/14)
出典元:RT:Wealthy will create ‘superhuman race’: Stephen Hawking essays reveal dark prediction(10/15)