2万人以上が2週間早く誕生、気温上昇で早産が増える可能性を指摘:米大学
熱い気候が続くことで、出産の時期を早める可能性がアメリカの大学の研究によって示された。
2万5000人が最大で2週間早く生まれていた
その研究によれば、気候変動の影響で気温が上昇し続ければ、赤ん坊が早く生まれる現象が起き、幼児の健康を損なう可能性があるという。
この調査を行ったのは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、環境サスティナビリティ研究所の研究者らだ。
彼らは1969年から1988年までの間、アメリカで平均より気温が高かった期間において、平均2万5000人の子供が最大で2週間早く生まれていたことを突き止めたという。
このことは年に15万以上の妊娠日齢が、失われたことを意味している。
この研究結果は12月2日に、科学誌「Nature Climate Change」において発表された。
仕組みはまだ分かっていない
調査を行ったAlan Barreca氏は早産を深刻に捉える問題だとした上で、次のように述べている。
「早く生まれることは、子供の成長に影響を及ぼし、大人になってもその影響が続く高い可能性があります。しかしこのこと(気温と早産の関係)を確認するには、さらなる調査が必要です」
またなぜ気温が高いと早産が増えるのか、その仕組みも明らかになっていない。ただしBarreca氏は、次のように語っている。
「熱い天候は、母親のオキシトシンのレベルを高めます。それが分娩や出産を規定する鍵となるホルモンなのです。そのつながりによって、暑い天気が心血管系のストレスを引き起こす可能性があります。またそれが早い出産につながるのかもしれません」
32℃以上で早産が5%増える
今回の調査で研究者らは、気温が32.2℃より上昇した場合、早く産まれる割合が5%上昇することを発見。これは200件の出産のうち1件の割合となる。(5600万件のサンプル)
現在、地球の平均気温は産業革命前と比べて1℃高くなっていると言われているが、Barreca氏は未来の早産の割合について深く懸念しているという。
「今世紀の終わりまでに、アメリカでは100件に1件が早産になること、それが予想より早く起きると予測しています。この数値は小さいように見えるかもしれません。しかし交通事故に遭う確率よりも高いのです」(了)
出典元:PHYS ORG:Hot weather linked to rise in early childbirth: study(12/2)