古代の巨大ペンギンと現代の種との溝を埋める化石の研究結果が発表される
背の高さが約1mしかないペンギンの化石がニュージーランドで発見され、古代の巨大ペンギンと、現代の種をつなぐ新たな研究結果が今週、アメリカの古生物学誌「Palaentologica Electronica」において発表された。
約6000万年前のペンギンの化石
研究者が注目したのは、ニュージーランドの東の沖にあるチャタム島で、化石として発見された古代のペンギンの種とされている。
この種は「Kupoupou stilwelli 」と呼ばれ、今から約6250万年前から約6000万年前にチャタム島で暮らしていたという。当時南極は氷に覆われておらず、ニュージーランド周辺も、熱帯もしくは亜熱帯の気候だったとされている。
「Kupoupou stilwelli 」は、最近サウスアイランドの東海岸で発見された複数のペンギンの種と海で共に暮らしていたそうだ。
その最近発見された種には、人間の大きさほどもあるモンスターペンギン「 Crossvallia waiparensis」も含まれていた。この種は背の高さが約1.5m、体重は80kgもあったと考えられている。
背が小さく、足も短かった
しかし「Kupoupou」の方は比較的小さく、現代の王様ペンギン(King Penguins)よりも小さく背の高さは1.1mしかなかったという。
また「Kupoupou」は、初期に発見されたペンギンの化石と比べても、体の比率からして足が短かったとか。このため地上をよちよち歩いていく現代のペンギンに近かったと考えられているそうだ。
そしてこのような現代のペンギンに近い古代の種が見つかったのは、初めてだとされている。(ただし化石が発見されたのは2006年から2011年にかけてで、その後分析などが進められた)
今回の研究を行ったのはカンタベリー大学の卒業生で、現在オーストラリアのフリンダース大学の博士論文提出志願者であるJacob Blokland氏だ。
彼は、この「Kupoupou」が古代と現代のペンギンのギャップを埋める役割を果たすとした上で、次のように述べている。
「より短い足は他の初期のペンギンとは異なった方法で、使われていたのでしょう。それは水中での競争に有利さを与えていたのです。またサウスアイランドの東海岸で多くのペンギンの種が発見されたという事実は、ここがペンギンの進化にとって重要な役割を果たしていたことを示唆しています」
恐竜絶滅後にさまざまな種が出現
Blokland氏をサポートしたカンタベリー博物館の自然史上級学芸員であるPaul Scofield教授によれば、彼の論文は恐竜が地上を歩き、水中でも巨大な海の爬虫類が泳いでいた期間が終わった後、ペンギンが急速に進化したという理論をさらにサポートするものであると述べている。
「私たちはペンギンの祖先たちが白亜紀後期に、アホウドリやウミツバメといった最も近い親戚につながる系統から分かれた可能性があると考えています。そして恐竜が絶滅した時、多くのペンギンの種が出現してきたのです。6600万年前の絶滅が起きたのち、ペンギンが飛ぶ能力を失い、逆に泳ぐ能力を増していったことは不可能なことではありません。そのことは鳥が短い間に大きな変化を遂げることも表しているのです」
またScofield教授は、もし白亜紀にいたペンギンの化石が発見されれば、より確かなことが分かる可能性があると述べている。(了)
出典元:University of Canterbury:Chatham Islands provide missing link in penguin evolution(12/10)
出典元:EurekAlert!:When penguins ruled after dinosaurs died(12/9)