南極の、氷の下に隠されていた陸地の姿が明らかになった
南極の氷の下に隠れた陸地を示す、最も正確な地図が公開された。
これは米国カリフォルニア大学の氷河学者グループが、地球温暖化の影響を予測するために2014年から進めていた「BedMachine」というプロジェクトの一つの成果だ。
これまでにも南極の陸地を推測した地図はいくつか作られているが、同大学によれば、今回発表されたものが現時点で最も正確であるとのこと。
NASAの観測データをベースに
現在NASA(アメリカ航空宇宙局)では、南極の氷の変化を調査する「Operation IceBridge」というプロジェクトが続けられている。
数機の飛行機を飛ばし、翼に搭載された装置から氷に向けてレーザーを発射、その跳ね返りを分析するというこの調査からは、氷の厚さを正確に知ることができるそうだ。氷の厚さが分かれば、現在の南極の氷の外形からそれを引き算して、陸地の形を求めることができる。
ところが、飛行機は一直線にしか飛べないため、氷厚のデータを取れる範囲もその直線上に限られる。これまでの地図は、この限られたデータを基にして、データーのない部分は学者が想像で補っていたものだそう。
今回、カリフォルニア大学が発表した地図は、世界19の研究機関から入手した過去50年以上にわたる氷厚に関するデータを併用し、氷河の流れを物理的に計算することで、データのない部分の地形をより正確に推定したもの。
世界で最も深い谷があった
今回の地図制作の中で大きな発見があったと、カリフォルニア大学のプロジェクトリーダーであるMathieu Morlighem教授はいう。
南極東部にデンマン氷河と呼ばれる氷河があるが、その下にある渓谷が、これまで考えられていたよりはるかに深い、海抜−3500mであることが分かった。
ちなみに、地球上の陸地で最も低い場所はイスラエルの死海の沿岸一帯で、海抜−430m。研究チームによれば、デンマン氷河のある渓谷の底は、「液体状の水に覆われていない陸地の中で、最も深い地点になる」とのことだ。(了)
出典元:Ice Sheet Modeling Group(カリフォルニア大学アーバイン校):BedMachine Antarctica
出典元:Mail Online:What lies beneath? Scientists create ‘the most precise map yet’ of the land underneath Antarctica’s ice sheet to help them predict the impact of climate change on the frozen continent(12/12)