放射性廃棄物で作る寿命数千年の電池、概念実証に成功する
米国のスタートアップ企業「NDB, Inc」は、8月25日、構想中だった新たな電池の概念実証実験に成功したと発表した。米国ローレンス・リバモア国立研究所とイギリス・ケンブリッジ大学キャヴェンディッシュ研究所の2ヵ所で行われた実験で、寿命数千年の電池の実現可能性が示された。
放射性廃棄物で作る電池
NDBが開発しようとしているのは、放射性廃棄物を利用した電池だ。放射性廃棄物、といっても核燃料そのものではなく、原子炉の減速材として使用された炭素(放射性同位体である炭素14)。それで作った放射性のある人工ナノ多結晶ダイヤ(カーボン14ダイヤモンド)が電池のコアとなっており、放射線のエネルギーは「非弾性散乱(inelastic scattering)」と呼ばれるプロセスを経て電気に変わる。
炭素14は天然に存在する代表的な放射性物質で、人間の体にも含まれている。炭素年代決定法で用いられるのも炭素14だ。人体に危害を及ぼすのは、電池のコアに直接触れたときだが、それを防ぐために、コアは放射性のない人工ナノ多結晶ダイヤ(カーボン12ダイヤモンド)製のケースに密閉されている(ナノ多結晶ダイヤは天然ダイヤモンド以上の硬度と強度があるので、簡単には壊れない)。NDBによれば、電池から放出される放射線量は、人間の体が発する放射線より少ないとのこと。
数千年の長寿命
炭素14の半減期は5730年。放射線を出し続ける期間が長く、寿命は一般の電池とは比べものにならない。NDBによれば、最長で28000年間持つ電池の開発が可能だそう。
NDBのCEO・Neel Naicker氏は海外メディアにこう話している。
「iPhoneの充電を毎日しないでいい世界を想像してみてください。日々バッテリーを充電しないでいい世界を想像してください。それが1週間に延び、1ヵ月に延び……さらに数十年に延びたらどうでしょうか? 私たちのテクノロジーを使えば、こういう世界が実現可能になるのです」(了)
出典元:NDB
出典元:New Atlas:Nano-diamond self-charging batteries could disrupt energy as we know it(8/25)
出典元:Mail Online:Battery encased in diamonds uses nuclear waste to power devices for THOUSANDS of years on a single charge(8/31)