エジプトで発見されたクジラの祖先の化石、4本足で陸上でも歩けた!
エジプトで、ちょっと珍しいクジラの祖先とされる動物の化石が発見され、その分析が進められた。
名前はエジプトの「死者の神」に因む
その動物とは「フィオミケトゥス・アヌビス(Phiomicetus anubis)」。これは今から4300万年前の新生代の始め頃に、水中や陸上で生活していたと考えられている。
この化石はもともとエジプト西部の砂漠で発見され、ジャッカル(または犬)の頭をしたエジプトの死者の神「アヌビス」に似ていることから、この名が付けられたという。
またこの「フィオミケトゥス・アヌビス」は絶滅したクジラのグループ「プロトケトゥス類(Protocetidae)」に属すると考えられている
ちなみに現代のクジラの祖先は1000万年前に、陸上で生活していたシカに似た哺乳類から進化したとも言われているそうだ。
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— Hesham Sallam (@heshamsallam) August 25, 2021
強力な顎を備えていた
発見された「フィオミケトゥス・アヌビス」の体重は約600kg、体の長さは約3mもあると考えられ、獲物を捕らえるための強力な顎が備わっていたという。
このクジラの祖先は陸上を4本足で歩くことができ、また同時に水中を泳ぐこともできたと考えられている。
化石は以前、エジプトのFayum低地で発見されたが、この場所はかつては海で覆われていたため、多くの化石が出土しているそうだ。
「フィオミケトゥス・アヌビス」の化石は、その後Mansoura大学の研究者によって分析が進められ、その研究論文が8月25日に科学誌「The Royal Society」において発表された。
最も古いタイプの半水生のクジラ
近年、化石が発見されたにもかかわらず、アフリカにおける初期のクジラの進化の全体像は、ほとんど謎に包まれているという。研究論文の主筆であるAbdullah Gohar氏は、次のように述べている。
「フィオミケトゥス・アヌビスは重要な新種のクジラであり、エジプトとアフリカの古生物学にとって重要な発見である」
足のあるクジラの化石が発見されたのは今回が初めてではないが、「フィオミケトゥス・アヌビス」はアフリカで発見された最も古いタイプの半水生のクジラだと考えられている。
またこの地域での研究は、クジラが両生類から完全な水生類へと進化していく過程について、新たな詳細を明らかにする可能性があるという。(了)
出典元:ABC net:Paleontologists discover four-legged whale fossil, name it Phiomicetus anubis after Egypt’s god of death(8/26)