NASAの探査機が初めて太陽に超接近、コロナ内部への突入に成功
アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機が、太陽の大気内に入ったことが確認された。
今回、分析が行われ接近を確認
その探査機とは「Parker Solar Probe」だ。
これは3年前に地球から打ち上げられ、太陽に接近。今年4月には、史上初めて太陽のコロナに入ったとみられていた。
そして今回、データの分析により、そのことが確認されたという。NASAはこの達成について「歴史的瞬間」と呼んでいる。
約1300万km上空で境界線に遭遇
この探査機の目標は、太陽を繰り返し通過し、より接近すること。しかし太陽に接近するのは困難で、探査機は猛烈な熱と放射線に耐えなければならない。
そこで探査機は、時速50万km以上の超高速で移動し、太陽の大気内に素早く入って、素早く出るという戦略をとった。
そして分厚い熱シールドの後ろから展開された一連の機器で、太陽環境の測定を試みたという。
今年の4月28日、「Parker Solar Probe」は太陽の可視面(光球:表面)から1316万km上空で、「アルフヴェーン臨界境界(アルヴェン境界)」と呼ばれる場所に遭遇した。
そもそも太陽は、重力と磁力によって結合した物質からなる超高温の大気で覆われており、その大気と太陽風との境が「アルフヴェーン臨界境界」となる。
ここはコロナの外縁部とされ、太陽に結合している物質が宇宙空間に放出されるポイントとされている。
5時間で3回、境界の上下を通過
カリフォルニア大学バークレー校のStuart Bale氏によると、探査機のデータは、5時間の間に3回、境界の上と下を通過し、コロナに入ったことを示唆しているという。
またコロナ内部では、太陽の磁場が非常に強くなり、粒子の動きを支配するようになったそうだ。この時、探査機は、まさに太陽と接触している物質に取り囲まれていたと考えられている。下の動画は、明るいループ状の構造物であるコロナストリーマ(ヘルメット・ストリーマ)を通過するときのもの。
その後、約1050万キロまで接近し、太陽表面の上に大きく浮かび上がるコロナ特有の構造「疑似ストリーマ」とも遭遇したそうだ。
「Parker Solar Probe」の科学チームは今後、探査機をコロナのさらに奥深くへ進め、より多くのデータを収集する予定だとしている。また2025年には、光球の700万キロ(620万キロとの報道も)圏内にまで到達する予定だという。(了)
出典元:BBC:Parker Solar Probe makes historic pass through Sun’s atmosphere(12/15)