ハワイの火山洞窟の内部に、ミステリアスな微生物を多数発見
数百年前に作られたとされるハワイ島の火山洞窟の内部で、多くの微生物が発見された。
微生物の広大なコロニーを発見
そもそもハワイでは島々を形成した火山活動により、500年以上前の古い溶岩洞窟があるという。
洞窟の内部は冷たく、暗く、有毒なガスや鉱物でいっぱいなため、ほとんどの生命体には無縁の場所と考えられてきた。
しかしハワイ大学などの研究者らは、ハワイ島の溶岩洞窟の内部に、微生物の広大で複雑なコロニーがあることを発見したそうだ。
火星の洞窟でも微生物が見つかる?
ハワイの溶岩洞窟は、火星や他の遠い惑星と同じような環境であることが専門家の興味を引いてきたという。
もし、600年から800年前の溶岩洞窟で微生物が生存していれば、いずれは火星でも微生物が見つかる可能性もあるからだ。
今回、ハワイ大学マノア校の微生物学者、レベッカ・プレスコット氏と共同研究者らは、活発な地熱噴出孔(噴気孔)や、400年未満の「若い」溶岩洞窟と500~800年前の「古い」洞窟など、様々な場所から70のサンプルを収集。
その後、サンプル中のリボソームRNAの塩基配列を決定することで、各サンプル中の細菌クラスの多様性と存在量を測定することができたという。
見つかった細菌の中には、これまであまり知られていなかった種もあり、また今後の研究によって、これまで発見されていなかった種が特定されることが期待されている。
長い時間で、微生物の社会構造も変化
研究者たちは、この小さな生物が火山の玄武岩に定着するには、長い時間がかかると考えている。
そして長い年月を経て環境が変化すると、微生物の社会構造も変化するという。逆に洞窟が若く、まだ活発な時期には、彼ら微生物のコロニーは種族的に近いそうだ。
また研究チームは、最も過酷な環境である地熱地帯は、より居住しやすい溶岩洞窟よりも多様性が低いのではないかと予想していたという。
そして調査の結果、確かに多様性は低かったが、多様性の高い場所と比較して、細菌のコミュニティ内の相互作用が、より複雑であることに驚かされたそうだ。
プレスコット氏は「このことは、微生物が互いに依存し合い、より相互作用の強い微生物社会を作るのに、極限環境が役立つのだろうかという疑問につながります」と述べている。
まだ分かっていないことが多い
そもそも微生物については分かっていないことが多く、全微生物種の99.999パーセントが未知のままであると推定されている。
ただ科学者たちは、過酷な環境では競争がより強い力に結びつくのではないかと考えているそうだ。プレスコット氏は次のように述べている。
「自然界では、微生物は孤立して生育することはありません。むしろ、他の微生物からの化学的シグナルの海の中で、他の多くの微生物と相互作用しながら成長し、生活しているのです。すると、彼らの遺伝子発現が変化し、コミュニティの中で、彼らがどんな仕事をするのか、に影響を与えることができるのです」(了)
出典元:METRO:Mysterious life forms discovered in centuries-old Hawaiian lava caves(7/25)
出典元:frontiers:Microbial ´dark matter´: centuries-old lava caves of Hawaiʻi Island contain thousands of unknown bacterial species(7/21)