ナノプラスチックを摂取後、2時間でマウスの脳内から検出
プラスチックの微粒子が、摂取後わずか2時間でマウスの脳から検出され、人間の健康にも重大な影響を与える可能性が指摘されている。
脳に入り込むメカニズムも確認
その研究を行ったのは、オーストリアやハンガリー、アメリカの研究チームだ。
彼らは、マウスにポリスチレン製のマイクロ・ナノプラスチック粒子を経口投与させたところ、その後2時間で、ナノプラスチック粒子だけがマウスの脳に入り込んだことを確認したという。
また研究者らは、病原体や毒素に対する重要な防御手段である「血液脳関門」を、ナノプラスチックが突破するメカニズムも明らかにしたそうだ。
シミュレーションにおいて、研究者らは、コレステロールのコーティング(コロナ)がナノプラスチックの取り込みを促進し、逆にタンパク質コロナが取り込みを抑制することを発見した。
さまざまな形で食物連鎖に入り込む
1950年代に普及し始めてから、プラスチックは生産量が急増し、現在でも衣類や食品の包装、自動車のタイヤや日焼け止めなど、日常生活のあらゆる場面で使用されている。
そしてプラスチックが分解されると、マイクロプラスチックやナノプラスチックが環境中に排出されていく。
マイクロプラスチックの大きさは0.001mmから5mm程度、ナノプラスチックは0.001mm以下とされ、両方の粒子は「MNP」と呼ばれている。
どちらも、海の魚やプラスチックのパッケージなど、さまざまな形で食物連鎖に入り込んでいるという。
ある研究では、1日にペットボトルで1.5~2リットルの水を飲む人は、1年間に約9万個のプラスチック粒子を摂取すると言われている。
神経障害につながる恐れ
またナノプラスチックは、すでに血液や胎盤を含む人間の組織や体液から発見されているが、今回の研究で脳内に粒子が検出されたことで、研究者は神経障害につながる恐れがあると警告している。
この研究論文の共著者であるルーカス・ケナー氏は、この分野におけるさらなる研究の必要性を強調し、次のように述べている。
「脳内では、プラスチック粒子が炎症、神経障害、あるいはアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患のリスクを高める可能性があります」
またケナー氏によれば、マイクロおよびナノプラスチック粒子が人間や環境に及ぼす潜在的な害を最小限に抑えるには、MNPの影響についてさらなる研究が行われる間、人が曝されるのを抑えるため、その使用を制限することが極めて重要だという。(了)
出典元:METRO:Study finds nanoplastic particles in brain two hours after ingestion(4/25)