インドでは1億人以上が糖尿病と推定、予備軍も多いと明らかに
新たに発表された研究により、インドでは人口の約1割の人が糖尿病にかかっている可能性が示された。
WHOの予想よりも多いと判明
医学雑誌「The Lancet Diabetes and Endocrinology」に掲載された新しい研究によると、インドでは1億100万人、人口の11.4%が糖尿病と共存していると推定されたという。
またインドの保健省が委託した調査でも、1億3600万人(国民の15.3%)が、近い将来糖尿病を発症する危険性の高い、糖尿病予備軍である可能性が判明したそうだ。
実は以前、世界保健機関(WHO)も、インドでは7700万人が糖尿病に罹患し、2500万人近くが糖尿病予備軍であると推定していた。
今回の研究は、病気による国の医療負担を評価するために行われ、インドの全ての州を包括的に調査した最初のものと考えられている。
20歳以上の11万3000人が参加
糖尿病とは、簡単に言えば、体内でホルモンのインスリンを十分に作ることができなくなり、高血糖になる病気だ。
今回の研究は、マドラス糖尿病研究財団がインド医学研究評議会(ICMR)と共同で実施したもので、インドの各州から20歳以上の11万3000人が参加したという。
これらのデータは2008年に収集されたが、インド政府による世帯調査「National Family Health Survey」の人口統計を使って、2021年の状況を推定したそうだ。
その結果、糖尿病の有病率が最も高かったのは、ゴア州(26.4%)、Puducherry直轄領(26.3%)、ケララ州(25.5%)であることが判明。
また以前は有病率が低かった、ウッタルプラデシュ州、マディヤプラデシュ州、ビハール州、アルナーチャル・プラデシュ州などでも糖尿病が急増しているという。
ボンベイ病院の糖尿病専門医であるRahul Baxi氏は、BBCの取材に対して、次のように語っている。
「ライフスタイルの変化、生活水準の向上、都市への移住、不規則な労働時間、座りっぱなしの習慣、ストレス、汚染、食習慣の変化、ファーストフードが簡単に手に入ることなどが、インドで糖尿病が増加している理由の一部です。糖尿病は、もはや富裕層や都市に住む人々の病気ではありません」(了)
出典元:BBC:Lancet study: More than 100 million people in India diabetic(6/9)