インドの探査機が月の南極付近に着陸成功、史上初の快挙に沸き立つ
インドの月探査機が、南極付近に初めて着陸に成功し、歴史的なことだとして注目を集めている。
「ヴィクラム着陸機」が着陸に成功
その探査機とは、「チャンドラヤーン3号」だ。この探査機は予定通り、順調な航海を続けており、23日には搭載された「ヴィクラム着陸機」が月へと降下を開始。
そして午後6時過ぎには、月の南極付近への着陸に成功した。当時、インドの人々はテレビにくぎ付けになり、着陸の様子を見守ったという。
やがてインド宇宙研究機関(ISRO)が、月への着陸に成功したと発表すると、歓喜に包まれ、その日の夜には人々が町に繰り出して、祝福したそうだ。
インドのモディ首相も、「ブリックス・サミット」に出席している南アフリカで着陸を見守り、成功の瞬間には「これは新しいインドの勝利の叫びである。我々は歴史を目撃しているのだ」と語った。
VIDEO | Chandrayaan 3 Mission: Lander module makes soft landing on the Moon surface.#Chandrayaan3 #Chandrayaan3Landing #ISRO pic.twitter.com/8GCKiuSOVD
— Press Trust of India (@PTI_News) August 23, 2023
着陸前の数分間の操作が重要だった
実は月の南極付近には、凍った水や貴重な元素が豊富にあると信じられており、今回そこへ着陸できたのは、史上初だったという。
またこの成功により、インドは月に探査機を着陸させた4番目の国となり、宇宙大国として仲間入りをすることになった。
月への着陸前の最後の数分間、着陸船は複雑な操作を行い、時速3730マイル(約6000km)からほぼゼロまで減速。水平の姿勢から垂直の姿勢についたという。
そしてこの瞬間の適切な機体の傾きと推力が重要で、力が強すぎれば着陸船は転倒し、逆に力が弱すぎれば、間違った場所で月面に衝突した可能性があったそうだ。
実はインドは2019年にも月への着陸を試みていたが、その時は最後の数分間で操作に失敗。着陸船は位置を変えることに失敗し、最後のブレーキをかける段階で、地表に向かって急降下し、激突してしまったという。
約1カ月かけて月へ到達
「チャンドラヤーン3号」(サンスクリット語で「月探査機」)は7月14日、インド南部のスリハリコタの発射台から打ち上げられ、アメリカの「アポロ計画」よりもはるかに長い時間をかけて月面に到達したという。
というのもインドのロケットは、アポロ計画で使われたロケットよりも出力がないからだ。そのため探査機は地球を数回周回して速度を上げてから、約1カ月にわたる月への軌道に乗り出したそうだ。
今後、「ヴィクラム着陸機」からは月探査ローバーの「プラギャーン」(意味:知恵)が送り出され、2週間にわたって月面を探索。写真を撮ったり、地質学や地球の起源に関する実験を行ったり、水や氷の存在を調査したりする予定とされている。(了)
出典元:The Guardian:India lands spacecraft near south pole of moon in historic first(8/23)