ブラックホールが自転している証拠、国際的な研究チームが初めて確認
ブラックホールが回転している直接的な証拠を、天文学者たちが初めて捉えることに成功した。
ジェットの噴射に自転が関与
この観測を行ったのは、EHT-Japanのメンバーらを中心とする国際研究チームだ。
彼らは、東アジアVLBIネットワークをはじめとする観測装置を用いて、地球から5500万光年離れた楕円銀河「M87」の中心から噴出する、ジェットの運動を詳しく観測したという。
そして過去20年以上にわたる観測で得られた多数の画像を分析し、まとめた結果、ジェットの噴出方向が約11年周期で変化し、歳差運動(首振り運動)をしていることを発見したそうだ。
これにより、「M87」の巨大ブラックホールが自転していることや、強力なジェットの発生にブラックホールの自転が深く関与していることが裏付けられたという。
明確な証拠は得られていなかった
そもそも多くの超巨大ブラックホールと同様に、「M87」もジェットと呼ばれるビーム状のガスを、光速に近い速度で、空間に噴出しているという。
しかしこれまで、巨大ブラックホールの性質やジェットの形成メカニズムには、多くの謎が残されており、「M87」が自転しているかどうかについても、観測から見極めることが難しく、はっきりした証拠は得られていなかったそうだ。
また科学者たちは、ジェットの動力源がブラックホールの自転であると予測してきたが、これまでは直接的な証拠がなかったという。
さらに詳しくは、下記にある2つのプレスリリースをご覧いただきたい。
国立天文台:歳差運動するM87ジェットの噴出口―巨大ブラックホールの「自転」を示す新たな証拠―(9/28)
EHT-Japan:歳差運動するM87ジェットの噴出口 〜巨大ブラックホールの「自転」を示す新たな証拠〜
出典元:The Guardian:First evidence of spinning black hole detected by scientists(9/27)