イタリアとマルタが入港を拒否、600人以上の難民が地中海に残される
先日、小舟に乗ったアフリカからの難民が救助されたが、その後イタリアやマルタ共和国が船の入港を拒否したため、いまだに上陸できずにいる。
妊婦や子供を含む629人を救助
6月9日、アフリカからの難民、629人を乗せた小舟がリビア沖で発見され、フランスのNGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」の船「Aquarius」によって救助された。
「Aquarius」に助けられた難民らは、東アフリカのエリトリアやガーナ、ナイジェリア、スーダンなどの出身で、その中には7人の妊婦を含む88人の女性がおり、123人の未成年、11人の子供が含まれていたという。
「Aquarius」は6月10日に、イタリアの港「Messina」を目指して進んでいたが、イタリア政府はその船の入港禁止を発表。マルタ島の西27マイル(約43km)地点、イタリア本土の南西35マイル(約56km)地点にとどまるよう、船に命令を下したそうだ。
この結果、難民らは現在も地中海に残されたままで、今後いつ上陸できるか、全く見通しが立っていない。
イタリアとマルタが互いに非難
イタリアの極右政党「同盟(The League)」のリーダーであり、新しい内務大臣及び副首相に就任したMatteo Salvini氏は、選挙中からこれ以上移民をイタリアが受け入れることはないと約束。将来はこの負担をヨーロッパの国々と等しく分け合うつもりだ、と主張してきたという。
そのため今回の事態に対しても、難民が乗った船をイタリアの港に入港させないと発言。距離的にはマルタの方が近いため、船はそこへ入港すべきだと述べたそうだ。
一方、これまでの多くの難民の受け入れを拒否し続けてきたマルタも、Salvini氏の発言を非難。Joseph Musca首相はマルタが国際法に則って活動しており、難民を受け入れるのはイタリアの義務だと主張している。
スペインが自国の港への入港を許可
このような事態を受け、6月11日にはスペイン政府が、難民の乗った船を引き受けると発表。人道的な大惨事を回避するため、バレンシアへの入港を許可したという。
しかし現時点で、船がバレンシアの港までたどり着けるかは明らかにされていない。
国連も今回の事態を人道的な緊急事態だとして、イタリアとマルタとの態度を非難。国連難民高等弁務官事務所のVincent Cochetel氏も「誰に責任があるとか、どのような責任を分かち合うのがベストかなどといった幅広い問題は、後に考慮すべきだと」と発言し、両国に入港を認めるよう要請している。(了)
出典元:ABC News:Migrants rescue-ship adrift as Italy-Malta standoff continues(6/10)
出典元:Reuters:Spain offers to dock migrant ship at heart of Italy-Malta standoff(6/11)