ドイツでパイロットがあえて難民の搭乗を拒否、222件に及ぶ強制送還を食い止める
ドイツの航空会社のパイロットが、難民申請が却下された亡命希望者たちの搭乗を拒否することで、母国への強制送還を食い止めていたことが明らかになった。
主にアフガニスタンへの送還を拒否
多くのパイロットが、亡命希望者を乗せた運航を拒否したのは、主にアフガニスタンへのフライトだったという。同国は、何年もの戦争と、西側諸国の占領により、今もなお紛争が続いている。
航空会社によると、パイロットは安全な飛行に影響を与えると判断した場合、それぞれフライトを中止するかどうか個々に決定を下すことできるそうだ。
国の一部ではまだ暴力と抑圧が続いているにもかかわらず、ドイツ政府はアフガニスタンを「安全な国」だと見なす場合もある。
拒否の理由は「安全な飛行が確保されない可能性がある」ため
今年1月から9月の間、合計222件の予定されていた強制送還が、パイロットによる運航拒否により「失敗」に終わったとみなされている。そのうち140件はフランクフルトの空港で、他はケルンとボン発のフライトだった。
これらのフライトを行っていたのは、主にルフトハンザとその子会社のユーロウィングスである。
ルフトハンザの広報担当者は、「乗客を搭乗させないという最終的な判断は、パイロットにより個別になされた。」と話す。
「搭乗前に、飛行の安全が確保されないという何らかの情報を掴んでいる場合、彼らは乗客を搭乗させないと前もって決定することができます。」
亡命、難民受け入れ先進国のドイツ
一方で、地元ドイツのメディアは、ルフトハンザのパイロットの証言を匿名で紹介している。
「送還者に搭乗を希望するか尋ね、もし拒んだ場合、たいていのパイロットは(彼らを乗せたまま)離陸するのを拒否しています。」
「我々は、飛行中にパニックに陥るような乗客を防ぐ必要があり、また他の乗客も守らなければなりません。」
パイロットは、道徳的理由で飛行を拒否すれば、懲戒処分になる可能性もある。前述のルフトハンザ広報管は、「これまでに、パイロットの良心的理由で、搭乗を拒否したというケースは見当たらない。」としている。
ドイツはEU内で、亡命申請手続きを1番進めている国として知られている。ヨーロッパの統計機関によると、今年の前半期6カ月で、約38万8000人以上の亡命および難民申請を許可している。
出典:INDEPENDENT:Pilots stop 222 asylum seekers being deported from Germany by refusing to fly(12/7)