バードストライクを防ぐためNYの空港で、数年間に約7万羽の鳥が殺処分されている
鳥が飛行機のエンジンに吸い込まれトラブルを起こす「バードストライク」。これを防ぐため、アメリカでは7万羽が殺処分されていると報じられた。
●ニューヨーク市内の空港において
AP通信によれば、ニューヨーク市内にある3つの主要な空港では、2009年に航空機がハドソン川に不時着した事故(ハドソン川の奇跡)以来、飛行機の安全を確保するため鳥を殺すプログラムが行われてきたという。
その結果、カモメやホシムクドリ、雁、そのほかの鳥も含め、これまでに約7万羽が銃や仕掛けられた罠によって捕獲され、殺処分されたそうだ。
●プログラムの前よりも増えている
しかし当局のデータによれば、このプログラムが行われた後もニューアーク空港やラガーディア空港では、バードストライクの件数は増えているという。
実際に2009年の事故が起きる5年前のバードストライクの年平均は158件だったのに対し、プログラムが始まってからの6年間の年平均は299件と増加。
また渡り鳥の主要な飛行ルート上にあり、事故前から殺処分のプログラムを進めてきたケネディ空港でも報告された件数は増えているそうだ。
このことから鳥の専門家などは、当局が飛行機の安全を守るために、鳥を殺す以外の効果的な方法を見つけるべきだと主張している。
●小型の鳥まで殺処分されている
またエンジントラブルを起こすのはカモメや雁など比較的大きな鳥が中心だが、空港当局のデータによれば2009年から昨年10月までに数千羽の小型の鳥が殺されているという。
実際に殺された7万羽のうち最も多いのはカモメで2万8000羽、次に多いのが小型のヨーロッパ・ホシムクドリで1万6800羽、その次がコウウチョウ(ムクドリモドキ)で6000羽、ナゲキバトが4500羽、カナダ雁は1830羽となっているそうだ。
●ムクドリが起こした事故は1件だけ
さらに2004年から昨年の4月までに、飛行機にダメージを与えた249羽のうち54羽はカモメで、12羽がミサゴ(鷹の一種)、30羽が雁で、11羽がミミヒメウだとされている。
そして比較的小柄のヨーロッパ・ホシムクドリはその間に3万5000羽殺処分されているが、実際に航空機にダメージを与えたのは1件しかいないという。
もっとも小型とはいえ群れになると、やはり危険で、1960年にも事故が起き62人が死亡しているそうだ。
現在、空港職員などは周辺に木や草を植えることで鳥たちの生息環境を変えようとしているが、同時に殺処分のプログラムが効果的かもう一度考える必要があるのかもしれない。
出展元:AP:‘Miracle on the Hudson’ legacy: 70,000 slain birds(1/14)