ウクライナ軍、北東部のハルキウ州で3万人のロシア軍と交戦
ウクライナは、北東部のハルキウ州で、数多くのロシア兵と交戦していると明らかにした。
国境に5万人、そのうち3万人を投入
ウクライナの国家安全保障・国防会議は5月13日、ABCニュースに対し、ロシア軍がハルキウ州において、国境に集結している5万人の兵士のうち3万人を投入していると明らかにした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、演説で、ロシア軍に反撃するためにハルキウ州に援軍を派遣したとし、軍には必要な火力と兵力がすべて提供されており、戦果は上がっていると述べたという。
またゼレンスキー大統領は「我々はロシア軍の歩兵や戦闘車両を破壊しており、同時に敵がどのように行動し、我々の兵力を手薄にしようとしているか、その意図もはっきりわかっている」と演説した。
ロシア軍は先週末から、国境を越えてウクライナ北東部のハルキウ州に進撃し、複数の集落を制圧しており、これは東部にいるウクライナ軍の兵力を分散させるための、陽動作戦と考えられている。
「敵は戦術的に成功している」
ロシア軍は5月10日、国境を越えてハルキウ州へ侵入。大規模な砲撃を行うなどして、11日には州の北部にある5つの村を制圧したと発表した。
ハルキウ州の知事も11日、これらの集落の付近で激しい戦闘が続いているとして、2000人の住民が避難していると認めた。
一方、ウクライナ軍は、ロシア軍の前進を食い止めていると主張していたが、ロシア国防省は12日、新たに4つの集落を制圧したと発表した。
最も激しい戦闘が行われているのは、ハルキウ州の町、ボウチャンスク郊外とされ、ウクライナ軍参謀本部は5月13日にSNSで声明を発表し、ボウチャンスクの戦いにおいて「現時点で、敵(ロシア軍)は戦術的に成功している」と認めた。
ハルキウ地方軍当局は13日、戦闘のため、ここ数日で約5900人の民間人が自宅から避難し、ハルキウ市に向かって避難していると発表。またボウチャンスクには、今も約200人が残っているという。
まだウクライナの防衛線は突破できず
この流れを変えるため、ウクライナ参謀本部は5月13日、ハルキウの前線を指揮する司令官を交代させると発表。さらにロシア軍の進撃を阻止するために、追加の予備軍をハルキウ地域に移動させると明らかにした。
しかしロシア軍は13日にも進軍を続け、ボウチャンスクから州都に近い、別の小さな町、Lyptsi付近に進軍したと言われている。
ロシア軍が占領した集落は、国境とウクライナの主要な防衛線との間、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる一帯にあり、ロシア軍はまだウクライナの防衛線を突破していないという。
実際、ロシア人の軍事ブロガーである「ライバー」氏も13日、「敵の防御への、大規模な突破は記録されていない」と報告している。
ウクライナ人ジャーナリストの、ユーリー・ブトゥーソフ氏も、ロシア軍が多数の死傷者を出したため、進撃は鈍化していると主張。さらに新しい司令官の任命後、ウクライナ軍の立場は改善していると述べている。
ただウクライナは、西側諸国からの支援の遅れを受けて、慢性的な兵力および武器の不足に陥っている。(了)
出典元:ABC News:Ukraine says 30,000 Russian soldiers attacking amid border offensive in Kharkiv region(5/14)
出典元:The Guardian:Russians having ‘tactical success’ in advance on Kharkiv, Ukraine says(5/13)